湿地保全の主張を継続 御嵩町のリニア残土処分で地元自治会長ら

伊藤智章
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 JRリニア中央新幹線の残土処分場が計画されている岐阜県御嵩町で、地元の上之郷地区の全16自治会長らでつくる「リニアトンネル残土を考える会」の総会が18日夜、同地区で開かれた。町は条件付きで処分場の受け入れを表明したが、考える会として予定地を含む湿地保全を求め続ける方針で一致した。

 渡辺幸伸町長が10日に表明した「健全土」の受け入れ方針への対応が焦点だった。町は有害な「要対策土」の受け入れは拒否するとしたが、JR東海の計画では、考える会が保全を求めてきた予定地の重要湿地が一定程度失われるためだ。

 ただ、JR東海との協議はこれからで、渡辺町長の地元である同地区は町長の支持者も多い。決議では、危険な残土の持ち込み反対、湿地群の保全、盛り土の危険性を指摘するなど従来の主張を維持するにとどめた。

 決議の表現をめぐり、「全自治会が一致協力」を「全住民が一致協力」と弱める提案が出たり、考える会の顧問の町議が辞任したことが公表されたりして、揺れる内情も明らかになった。一方で、同県瑞浪市でリニア工事による水枯れが起きていることも話題になり、「御嵩でも湿地やゴルフ場の池に影響するのでは」と危惧する声も出た。

 総会後、纐纈健史会長(73)は「町は新方針について地元に説明したうえで、JRと協議してほしい」と語った。(伊藤智章)

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