「宇宙への敷居を下げる」高校、授業が始動 ラボという名の教室も

菊地洋行
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 和歌山県立串本古座高校(串本町)に今春新設された宇宙探究コースで、宇宙関連の知識を学ぶ授業が始まった。

 民間小型ロケット発射場「スペースポート紀伊」ができたことを機に、ロケットのまちへと地域おこしに力をいれる串本町。宇宙探究コースには県内から3人、関東地方から4人の計7人が入学した。

 23日の5、6時間目に専門科目「宇宙探究基礎」の初めての授業があった。教壇に立つのは、宇宙航空研究開発機構(JAXA)で勤務した経験がある藤島徹教諭(56)。5時間目のオリエンテーションでは「宇宙へ行こう!」と題したスライドを投影しながら、3年間で学ぶ授業の内容や宇宙ビジネスの将来性、日本の宇宙開発の歩みなどを紹介した。

 6時間目は、「Space Labo(スペースラボ)」と名付けられた特別教室に移動。鏡に映る像を見ながら、星形の図形の間をペンでなぞったり、白い無地のジグソーパズルを共同で組み立てたりする課題に取り組んだ。

 藤島教諭によると、鏡像による描線は画像モニターを見ながらロボットアームを操作する訓練になり、無地のホワイトパズルは、仲間同士のきずなを育む「チームビルディング」に通じるという。JAXAの宇宙飛行士選抜試験でも過去に似た課題が出たという。

 藤島教諭は「僕の仕事は、宇宙への敷居を下げること。ポテンシャルの高い生徒たちなので、伸びしろを引き出して宇宙分野につなげたい」と目標を掲げる。

 神奈川県葉山町出身の横山陽(あきら)さん(15)は、自然科学系の図鑑や漫画「宇宙兄弟」が大好きといい、「3年間、楽しく宇宙のことを学びたい」と話した。

 千葉市出身の渡部拓宙(たくひろ)さん(15)は「小惑星探査機『はやぶさ』に興味があった。将来は、宇宙開発や天体観測に関わる仕事につきたい」と夢を描く。

 生徒たちは2年生で「宇宙ビジネス探究」、3年生で「宇宙と国際理解」といったカリキュラムに沿って宇宙産業や研究の現在地を学ぶという。(菊地洋行)

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 〈串本古座高校の宇宙探究コース〉 今年度、未来創造学科に地域探究、文理探究の2コースとともに設置された。「宇宙航空工学」「宇宙観測と利活用」「衛星データ分析と活用」など宇宙に関する科目を3年間で7~11単位学習する予定。国公立や私立大学の理工系学部を主な進学先に想定し、宇宙に関連する観光や経済、国際関係など文系への進学にも対応する方針。

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