18日に群馬県で始まる第76回春季関東地区高校野球大会(関東地区高校野球連盟主催、朝日新聞社など後援)に、宇都宮商が32年ぶりに出場する。19日が初戦で、今春の甲子園を制した健大高崎(群馬)と対戦する。

 宇都宮商は1923年、夏の全国大会に栃木県勢として初出場を果たした県立の伝統校だ。

 最近の県内の高校野球は私立校の活躍が目立つ。過去10年間で、春季関東大会に出た栃木県の県立校は2019年の栃木工のみ。他県も私学が強く、今大会も県立は宇都宮商と前橋商(群馬)だけだ。

 このような状況で、宇都宮商が101年ぶりの夏の大舞台を目指し、どのような戦いを見せるのか注目が集まる。先日の春季県大会では、ノーシードから作新学院、文星芸大付と私学の強豪校を破り、決勝に勝ち進んだ。6試合のチーム打率は2割8分9厘と傑出してはいないが、レギュラー全員が2~4打点をマーク。守りでも、エース山崎翔大(3年)を軸とした投手陣を全員で支えた。

 山口晃弘監督は「これで満足してはいけない」と言いながらも、「私学と戦うときにはバッテリーのエラーを極力なくし、周りもちゃんと守ることが大切。それがちょっとできてきた」と手応えを得ている。関東大会は「勉強させていただきたい。強くなるためにどうするか、ということが得られると思う」と語った。

 選手たちも意欲十分。四番の野中玲臣(3年)は「ちゃんと1点を取れる打撃、チームに流れを引き寄せる打撃を」。エースの山崎は、健大高崎相手でも「もちろん勝ちにいきます」ときっぱり。「強気強気でどんどん攻めていきたいです」と力投を誓った。

 2013年の選抜大会で宇都宮商を甲子園に導いた金子安行・前監督は、山崎投手について「縦の変化球でストライクが取れる。11年に宇都宮商が(夏の選手権栃木大会で)準優勝した時の投手に印象が似ている」と語る。

 決勝のあと、現在の山口監督と話をする機会があり、自身が関東大会に出場した時の経験などを伝えたという。「名だたる学校と試合ができるのは楽しいでしょうし、勉強になると思う」とエールを送る。

 卒業した先輩たちは室内練習場の整備など支援を続けてきた。卒業生の大矢裕啓さん(64)も「胸を借りるつもりで、堂々とやってきてほしい」と期待している。

 健大高崎は今春の甲子園で、エースの石垣元気(2年)が150キロをマーク。報徳学園(兵庫)、星稜(石川)などの強豪に競り勝ち、群馬県勢として初の頂点に立った。宇都宮商との初戦は、前橋市の上毛新聞敷島球場で行われる予定。(津布楽洋一)