ゴリラの飼育環境改善へ 千葉市動物公園 13日からCF 野生近づけ、種の保存狙う

雄のモンタ。現在の展示場はコンクリートで囲まれ、野生の環境には遠い状況だ(千葉市動物公園提供)

 千葉市動物公園(同市若葉区)はゴリラの飼育環境を整え、野生の生息環境に近づけるための費用を募るクラウドファンディング(CF)を13日から行う。ゴリラたちがストレスなく健康的に暮らせる環境をつくり、絶滅が危惧されるゴリラの保全や種の保存につなげたい考えだ。7月16日までに、植樹や研究用モニタリングカメラ設置にかかる費用1900万円の達成を目指す。

 野生のゴリラは森林伐採や内戦、密猟など人間の活動の影響で絶滅の危険性が極めて高いとされている。アフリカの熱帯雨林に群れで暮らしているが、動物園では一頭ずつ展示するなど野生とは環境が大きく異なる。このため、繁殖につながることが少ないという。

 現在、国内では6施設で計20頭が飼育されており、同園には国内最多の6頭のニシゴリラが所属。うち5頭は園間の個体の貸し借り「ブリーディングローン」のため、上野動物園(東京都)や京都市動物園で生活している。

 1990年から飼育してきた千葉市動物公園にとって、園のシンボルマークに採用するなどゴリラは大切な動物。そこで、習性や本来の生息環境に応じた飼育方法にすることで、ストレスなく野生下のような行動が取れるよう配慮する「環境エンリッチメント」に取り組むことにした。

 CFの第1目標は1050万円で、野生では樹上で生活することもあるニシゴリラのため、展示場に高さ3メートルほどの木を植樹。野生のゴリラが好むとされるショウガ科の植物も植え、採食行動に変化があるかの検証も行う。

 最終目標金額は1900万円。野生下と飼育下で採食や摂取栄養量に違いがあるかといった学術的検証に必要なモニタリングカメラ、暑さ対策のミスト装置などの設置費に充て、ゴリラが健康的に生きられる環境について研究する。「ストレスなく健康に生活することで、最終的には繁殖も期待できる」と同園の担当者。検証の結果は、園外にも公開し、ゴリラの保全や種の保存への貢献も図る。

 寄付者には、同園で飼育するニシゴリラのローラやモンタがデザインされた限定グッズのほか、ゴリラの展示室のバックヤードツアーなどの返礼品を用意している。同園の鏑木一誠園長は「CFを通じて、多くの人に動物を取り巻く課題を知ってもらう機会になれば」と呼びかけている。CFの詳細は同園ホームページ。

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