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F1、入賞枠を12位まで拡大へ 背景に上位と下位の圧倒的な実力差、ファンやスポンサーを引き留めるには…

2024年4月24日 10時10分

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日本GPで10位入賞し、大喜びの角田裕毅とビザ・キャッシュアップRBのスタッフら(©Red Bull Content Pool)

日本GPで10位入賞し、大喜びの角田裕毅とビザ・キャッシュアップRBのスタッフら(©Red Bull Content Pool)

 【リスボン=ルイス・バスコンセロス】F1が入賞枠の拡大を検討中だ。現在、入賞は10位までだが、これを12位まで広げたい考え。上位チームと力の差が激しく、入賞(ポイントの獲得)が極めて難しくなっている下位チームへの対応という。規則変更などを話し合うF1委員会で討議の予定。変更が決まれば、8位から10位まで拡大された2010年以来となる。おおむね新たな入賞枠拡大に否定的なチームはなく、来季から導入される見込みだ。
 現在のF1はレッドブルやフェラーリなど上位5チームと、それ以外の5チームとの実力差がくっきり。下位グループに属する車両は、どんなに頑張っても1ポイントを獲得できるかどうかの状況に置かれている。21日の中国GPで10位に食い込んだハースのニコ・ヒュルケンベルクも「僕らにとって(10位は)レースに勝利したも同然」と語ったほどだ。
 そんな現状は、F1運営会社にすれば喜ばしいことではない。より多くのチームにスポットライトが当たれば、下位チームのスポンサーも少しは満足できるだろう。そうすればF1全体が潤うことになる。
 12位まで入賞枠を広げるに当たり、新たなポイント案では1位(25ポイント)から7位(6ポイント)までは現在と同じ得点を付与する。一方、8位は現在の4ポイントから5ポイントに、9位は2ポイントが4ポイントに、10位は1ポイントが3ポイントに増える。11、12位はそれぞれ2、1ポイントを得る仕組みだ。
 F1委員会で討議後、世界モータースポーツ評議会で最終審査を受ける流れだが、多くのチーム関係者は入賞拡大に肯定的という。来季導入はほぼ確実な情勢だ。
 フェラーリのフレデリック・バスール代表は「下位チームにすれば、上位チームのリタイアがない限り入賞できない現状はイライラするだろう。入賞拡大は賛成だ」とコメント。ただ、やみくもに入賞を増やすのには慎重な姿勢で「あまり多くの変更には注意が必要」とくぎを刺した。
 1950年に産声を上げたF1は、1~5位の入賞枠でスタート。60年から6位まで拡大され、その形式は2002年まで続いた。メスが入ったのは03年。ミハエル・シューマッハー&フェラーリの独走が続き、レース展開が退屈になった際、カンフル剤として1~8位に拡大された。そして10年から10位まで拡大され、獲得ポイント数も優勝10ポイントから25ポイントの現行スタイルへ。
 14年には最終戦のみポイントが倍になる挑戦的な案が導入されるも、たった1年でお蔵入りとなっている。レッドブル&マックス・フェルスタッペンの独走を止められない現在。ファンやスポンサーを引き留めるには、入賞枠拡大による話題作りしか道は残されていないようだ。

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