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パチンコ会社の社名に「○○観光」が多いのは理由があった【企画・NAGOYA発】

2024年4月28日 07時00分

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◇第28回「パチンコの発祥は名古屋?」その2
 名古屋市、愛知県は全国屈指のパチンコ王国と呼ばれるが、パチンコホールの事業者にはなぜか「○○観光」と付く社名が多い。帝国データバンクによると、2022年のパチンコホールの経営法人は全国で1508社となっている。本紙の調べでは社名に「観光」とつくのは約70社を数え、うち愛知、岐阜、三重の東海3県には20社近くがひしめく。
 東海地方、北陸地方、北海道などで17店舗を展開する『平成観光』(本社・岐阜県多治見市)は1989年に設立されたが、同社の広報担当者は「昭和から平成に改元された平成元年1月8日に設立された」と平成と名乗る由来を明かした。

平成観光が展開するパチンコホールのケイズ中川運河店=名古屋市中川区で(鶴田真也撮影)


 観光のネーミングについては「ツーリズムというよりはサイトシーイングの意味合いが濃く、余暇、娯楽を楽しんでもらいたいとの思いが込められている」とした。同社は創業者の一族が経営されていたリゾート企業が倒産したのを機に新会社として再出発したが、現在はパチンコ事業を専業としており、特に関連はないという。
 愛知県内で5店舗を持つ『三和観光』(本社・愛知県岡崎市)は72年に設立された事業者で、同社の佐藤伸取締役総務部長は「確かに社名が『観光』というパチンコ店は多かった。われわれの会社の場合は余暇時間の中で普通の生活から離れて行う活動という意味でつけられたと聞いている」と説明した。
 このほか、1952年に北海道弟子屈町に開店したパチンコ店がルーツで現在は北海道、東北地方で「パチンコひまわり」の名称で展開する『合田観光商事』(本社・札幌市)からは「過去にパチンコホール以外のレジャー業もしていたと伝え聞いている」との回答が得られた。レジャー産業を組み入れて多角経営をしてきた名残が「観光」にあると見る向きもあるようだ。
 パチンコ博物館の牧野哲也館長も、愛知県を中心とする地域は、パチンコ店を専業とする店ばかりではなく、レジャービルを建て、複合的な娯楽施設の提供を生業とする業者が55年以降の昭和30年代前半から他地域に比べて多かったことを一因として挙げる。
 「パチンコ店を路面店に据え、上階でレストラン、飲食店、バー、キャバレー、後にはサウナやカプセルホテルなども併設した事業者が見られ、総合的なレジャー産業を目指すという方向性から『観光』を名乗る屋号が増えたのではないか」としている。
 例えば、2007年に債務超過で特別精算に至った旧『日新観光』は「プレイランドニュージャパン」などの店名で名古屋市内でパチンコホールなどを展開したが、名古屋でのカプセルホテルの先駆けとなった「カプセルイン名古屋」を金山駅前で開業していた。
 このほか「産業」「商事」「会館」などを名乗る事業者もある一方で、「パチンコ」を社名に入れる企業がほとんどないのも特徴といえる。
  ◇  ◇  ◇
【参考文献】
『パチンコ百年史』(山田清一、今泉秀夫責任編集、アド・サークル刊)
『パチンコ歴史事典』(パチンコ必勝ガイド編、ガイド・ワークス刊)
『パチンコ博物館』パンフレット
『天の釘』(鈴木笑子著、晩聲社刊)

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