「ボクシングに新しい風を吹き込みたい」 亀田興毅さんが目指す、新たな『劇場』への思い
2024年4月28日 11時20分
◇記者コラム「Free Talking」
「ボクシング」と「亀田三兄弟」。組み合わせると、どんな光景が浮かぶだろうか。アラフォーの記者が思い出すのは、腰をかがめてトリを追い回すなど父・史郎さんのトレーニングに励む兄弟。締めは「しゃおらー!」の叫び。テレビ向けのアピールだった。
そんなイメージから恐る恐る迎えた3月16日は、元世界3階級制覇の長兄・亀田興毅さん(37)が、ファウンダーとして取り仕切る興行「3150FIGHT」の名古屋初開催。興毅ファウンダーが「新しい風を吹き込みたい」と繰り返してきた通り、亀田流に触れることができた。
注目したのは三兄弟で唯一、現役を続ける末弟の元WBOバンタム級王者・和毅(32)でもミニマム級のダブル世界戦でもなく、いわゆる前座だ。ネットテレビの「ABEMA」で生中継。担当者の「インターネット中継は放送の尺の制限がなく、全試合フルで配信できる」という媒体の強みを生かした。
もう一本の柱は、直球で金。過去に「3150FIGHT」に出場した中部エリアの選手によると、割り当てられたチケット売り上げの取り分は、選手側に手厚い。ファイトマネーも含め、普段の10倍近い金額を手にしたという。
駆け出しのボクサーは、メディアで取り上げられても試合の中身ではなく、ユニークな副業が話題となることもしばしば。それを思えば露出と稼ぎの両面で、プロらしさを実感できる場になっているのは間違いない。
同日、セミとメインを控えてあいさつした興毅ファウンダーは、愛知県碧南市育ちのご当所でプロ初黒星を喫した日本ヘビー級王者・但馬ミツロ(29)の名前を挙げ、涙声で「必ず次の舞台もつくります」と宣言した。新たな亀田劇場。かつてのようなパフォーマンスはなくても、競技の底上げへの強い思いがにじんでいた。(ボクシング担当・志村拓)
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