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【福留孝介の目】隙を与えた中日、隙を突いた阪神 「この引き分けが響くとしたら」 8回の攻防を振り返る

2024年4月13日 10時18分

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【福留孝介の目】◇12日 中日2―2阪神(バンテリン)
 久しぶりの首位に立つ中日と、スタートでつまずいた昨季の覇者・阪神との今季初戦。隙のない野球を見せたのは阪神だった。

阪神と引き分け、スタンドへのあいさつに向かう中日・立浪監督ら

 中日の先発・柳が7イニングを無失点に封じて、7回には村松の適時打で追加点を挙げた。中日は2―0から勝ちパターンの継投で逃げ切りたかったが、8回に2番手の勝野が1死から四球を与えたところから同点に追いつかれた。
 両球団のOBで本紙評論家の福留孝介さんは「阪神にすれば勝ちに近い引き分け。一方、中日は絶対的な中継ぎを投入した中で引き分け。しかも再び勝ち越す好機をつくりながら、あと1本が出なかった惜しまれる引き分け。この引き分けが響くとしたら、追いつかれた方だと思う」と話した。
 隙を与えた中日、隙を突いた阪神。8回のそのシーンを振り返ろう。
 阪神の攻撃。相手は勝野。前川が左飛に倒れたあと、岡田監督は代打攻勢を仕掛ける。代打の糸原が粘った末に四球を選び、次の木浪は三遊間を破る安打で一、二塁。そして代打ノイジーが左中間寄り深めにイージーなフライを放った。ここで二塁走者が三塁へタッチアップ。同時に一塁走者の木浪も二塁を陥れた。この「二進」が大きな意味を持つ。一打同点の局面に変えた。
 「レフトからの返球をカットした遊撃の村松は、一塁走者の動きがおそらく自分の頭にはなかったこと。2点リードだから、1点はあきらめたとしても、同点だけは避けたい。となると、後ろの走者を二塁には進めたくない。そう考えていれば一塁走者のことをおろそかにできなかったはず。一瞬の隙を突かれた格好となった。逆に、阪神側から言えば、木浪が隙のない野球をしたということだ。普通、一塁走者はハーフウエーまで行って、外野手に捕球されたら一塁へ戻る走塁となる。そこをすぐさまタッチアップを狙ったのだから」と福留さんは言う。
 この直後、中日は守備の乱れも重なった。俊足の近本が一、二塁間へゴロを打った。一塁手の中田がダイブしても届かない。二塁手の田中は追い付いたが、勝野の一塁カバーが少し遅れた。正確な送球をしていても一塁は微妙。そんな際どいタイミングで、田中の送球は高く浮く悪送球となって、2者生還となった。
 「二塁走者の動きにも注意を払っていれば、送球を自重する選択肢もあった」と福留さん。中日にすれば、新たな二遊間コンビが”高い授業料”を払った試合となった。

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