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22年のフォームと比較…修正すべきは「右手を上げるタイミング」中日・高橋宏が落合コーチと歩んだ44日間

2024年4月29日 10時56分

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◇渋谷真コラム「龍の背に乗って」
◇28日 中日0―0広島(バンテリンドームナゴヤ)
 得点圏に走者を進めたのが実に7度。13残塁の攻撃陣には毒のひとつも吐きたいが、ぐっとこらえて投手陣に差し込んだ光に触れる。3月の2軍降格から44日。7イニング無失点という答えを出した高橋宏が、この間に歩んだ道を記す。

2022年7月29日の広島戦、先発し8イニング1失点だった中日・高橋宏

 1軍の首脳陣が預けたのは、落合2軍投手兼育成コーチだった。ご存じの通り、昨季までは1軍ヘッドコーチ。本人と面談し、真っ先に尋ねたのは自分がやってきた方法を貫き、それをコーチがサポートするのか、コーチ主導で進めるのかということだった。これまた読者ならご存じの通り、高橋宏がトンネルに入ったのは、フォームを改造したからだ。もちろん向上心ゆえ。ただ、理論は誰かが実践して成功したからといって、万人に通じるとは限らない。さらに言えば今の自分に合うのか…。フォームは繊細だ。「こう投げろ」でよくなるのなら、誰も苦労はしない。だから本人の覚悟を確かめ、高橋宏は耳を傾けると決めた。そこが出発点だった。
 高橋宏が最も良かったのは、1軍デビューした2年前だ。その頃をよく知る落合コーチは、本紙カメラマンに協力を依頼した。2022年7月29日。くしくも今回と同じ広島戦(マツダ)で、高橋宏は8回1死まで無安打という素晴らしい投球をした。指定されたその試合の高橋宏と、春先の高橋宏。それぞれのフォームの連続写真を用意してくれと頼まれた。動画の時代にあえて写真。並べることでわからせたかったのは「なぜ良かった?」と「なぜ悪い?」だった。
 「手のひらじゃなく、甲。右手に早く持ってきてみろ。元(22年)がそうだったんだから」
 こま送りの写真をそれぞれ並べ、右手を頭上に上げるタイミングを説明した。左肩が開く。左膝が割れる。球が抜ける…。スピードがあるのに簡単に打たれていた原因はいろいろ言われたが、落合コーチはその1点にあると見た。44日間は意味ある遠回りだった。この日の好投が、その証明だと信じたい。
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