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J1復帰の磐田、横内監督のコンセプトをピッチ上で体現…今季の台風の目になる可能性も【大塚浩雄のC級蹴球講座】

2024年3月1日 22時39分

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◇1日 J1第2節 川崎4―5磐田(U等々力)
 すさまじい点の取り合いを磐田が制した。それも敵地で。開幕の神戸戦は相手をリスペクトしすぎて持ち味を出せず、0―2で完敗したが、この日は違った。川崎相手にアグレッシブに攻める。前半だけで3ゴール。その点の取り方は徹底していた。

試合に臨む磐田・横内監督

 攻撃の第一歩は相手のボールを奪うこと。これが徹底されていた。川崎の選手がボールを持った瞬間、ファーストディフェンダーが即座にアプローチする。そこから人数をかけてボールを奪い取ると、一気に相手ゴールに迫る。この時、磐田のアタッカーは相手ペナルティーエリア内に必ず斜めに走り込んでくる。そこに斜めのパスを入れる。さらにペナルティーエリア内でボールを動かし、ゴール前でジャーメイン良が絡む。
 ボールの支配率では川崎が70%と圧倒した。ただ、川崎はボールを持ててはいるが、磐田のアプローチが速いがために、なかなか自由にボールを動かせない。横内昭展監督がチームに落とし込んだコンセプトを選手が徹底的にピッチ上で体現した。
 豊富な運動量を武器にチーム全体でボールを奪い、運ぶ。加えてジャーメインの献身的な動きで絡む。ジャーメインは走行距離12キロ、スプリント17回とセンターフォワードとしては非常に豊富な運動量でチャンスを作り、4ゴールを決めた。
 チームコンセプトをいかにして選手に浸透させるか。それこそが横内監督の最も得意とするところではないだろうか。日本代表の森保監督の下でアシスタントコーチを務めていた時、森保監督は”横内コーチ”に合宿中の練習を任せていた。オーガナイズから進行、コーチング。森保監督は基本的には練習中は口を出さない。サンフレッチェ広島時代からのコンビで、気心は知れている。
 W杯カタール大会後、J2の磐田監督に就任し、1年でJ1復帰を果たした。今季はその手腕がJ1で通用するか、勝負の1年になる。その意味でも、敵地で川崎相手に5得点を挙げて競り勝ったという事実は、非常に大きい。ひょっとしてひょっとすると、磐田は今季J1の台風の目になる可能性を秘めている。この日の戦いぶりは、それを十分に予感させる。磐田にはJ1をおおいにかき回してほしい。
  ◇  ◇  ◇
 ◆大塚浩雄 東京中日スポーツ編集委員。ドーハの悲劇、94年W杯米国大会、98年W杯フランス大会を現地取材。その後はデスクワークをこなしながら日本代表を追い続け、ついには原稿のネタ作りのため?指導者C級ライセンス取得。40数年前、高校サッカー選手権ベスト16(1回戦突破)
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