アナリストが解説!格差広がるフード&ドラッグの業績評価と要因

解説・文:柳平 孝 (いちよし経済研究所主任研究員)
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フード&ドラッグ各社の足元の業績は、とくに既存店の売上好調に支えられ、概して堅調に推移している。ただ、直近の決算数値に目を向けると、利益面を中心に企業間格差も見られるようになってきた。最新業績の内容と、各社の経営戦略について解説していく。

既存店の好調が顕著に

 2023年春以降、フード&ドラッグ企業の既存店売上高の高い伸びが顕著となっている。たとえば、食品強化型メガドラッグストア(DgS)を展開しているコスモス薬品(福岡県)の24年5月期に入って以降、6~9月平均の既存店増収率は対前年同期比8.9%増で、24年5月期上期(6~11月)の会社計画(同3.5%増)を大きく上回って推移している。

 また、食品強化・調剤併設型DgSのクスリのアオキホールディングス(石川県:以下、クスリのアオキHD)でも24年5月期に入っての6~10月累計の既存店増収率は同10.6%増となり、上期会社計画(同3.2%増)を大きく超えている。

 東北地盤のフード&ドラッグ企業、薬王堂ホールディングス(岩手県:以下、薬王堂HD)も24年2月期上期(3~8月)実績の既存店増収率が同7.8%増と伸長し、下期に入って以降も9~10月平均の既存店増収率は同8.8%増と好調を継続。同社も下期の会社計画(同3.7%増)を大きく上回って推移している。

コロナ禍の平行線を経て、SMを上回る増収率に

 図表は、代表的なフード&ドラッグと食品スーパー(SM)の既存店増収率の推移である。

 20~21年は両業態ともにパラレル(平行)な動きとなっている。20年は新型コロナウイルス感染拡大の影響を背景とした需要増大による売上増加、21年はその反動減である。同期間においては感染拡大防止の観点から全国的に外出抑制の空気感が立ち込め、生活必需品の購買に際しても来店頻度抑制とまとめ買いが求められた状況下、フード&ドラッグのワンストップショッピングの利便性が消費者に広く認識されたためといえよう。

 しかし22年以降、図表を見る限り、フード&ドラッグの既存店増収率が

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解説・文

柳平 孝 / いちよし経済研究所 主任研究員

1991年北海道大学経済学部卒、同年大和総研入社。小売業界アナリストとして、INGベアリング証券(現マッコーリーキャピタル証券)、日興シティグループ証券(現シティグループ証券)などを経て、2011年1月より現職。公益社団法人日本証券アナリスト協会検定会員

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