更新日: 2022.08.30 生命保険

家族が加入している生命保険、知っていますか?

家族が加入している生命保険、知っていますか?
親や配偶者がどのような生命保険に加入しているのか、知っていますか? 認知症を患ったり万一亡くなったりしても、加入中の生命保険の存在や内容がわからずに未請求のままになってしまうケースがあります。
このような事態を防ぎ、解決する方法をご紹介します。
岩永真理

執筆者:岩永真理(いわなが まり)

一級ファイナンシャル・プランニング技能士

CFP®
ロングステイ・アドバイザー、住宅ローンアドバイザー、一般財団法人女性労働協会 認定講師。IFPコンフォート代表
横浜市出身、早稲田大学卒業。大手金融機関に入行後、ルクセンブルグ赴任等を含め10年超勤務。結婚後は夫の転勤に伴い、ロンドン・上海・ニューヨーク・シンガポールに通算15年以上在住。ロンドンでは、現地の小学生に日本文化を伝えるボランティア活動を展開。
CFP®として独立後は、個別相談・セミナー講師・執筆などを行う。
幅広い世代のライフプランに基づく資産運用、リタイアメントプラン、国際結婚のカップルの相談など多数。グローバルな視点からの柔軟な提案を心掛けている。
3キン(金融・年金・税金)の知識の有無が人生の岐路を左右すると考え、学校教育でこれらの知識が身につく社会になることを提唱している。
ホームページ:http://www.iwanaga-mari-fp.jp/

「生命保険契約照会制度」がある

生命保険に加入している事実を契約者本人が家族に伝えていなければ、そもそも保険契約があること自体、家族が知らない可能性もあります。
 
生命保険契約があっても、請求をしない限り保険金は受け取れません。
 
突然亡くなってしまったり認知症になったりして、家族へ伝えられなかった可能性がある人の生命保険の存在を明らかにしてくれるのが「生命保険契約照会制度」です。親族等が申し出れば、一般社団法人 生命保険協会を通じて、生命保険会社42社へ保険契約の有無を一括照会できます。
 
これまでも災害時に保険証券を失くした場合等には照会可能でしたが、そうではない場合、いわゆる平時でも照会できるようになりました。
 

制度を利用できる状態や必要書類など

生命保険契約照会制度は、保険契約者または被保険者が表1の状態になったときに利用できます。
 
【表1】


 
申請から照会結果がわかるまでに、およそ2週間かかります。平時は代理人が申請することも可能ですので、もし相続手続きなどで時間がない場合は代理人に依頼することも検討できます。
 
必要書類は申請者(照会者)によって異なりますので、詳しくは生命保険協会へご確認ください。
 

制度を利用する際の注意点とは?

<照会してわかるのは「生命保険契約の有無」だけ>

照会した結果、保険契約があるとわかっても、その詳細や内容は各保険会社へ別途問い合わせて確認する必要があります。
 
契約のある保険会社のコールセンターなどへ連絡をして、保険契約の詳細を聞くとともに、保険金請求に必要な手続きや書類を確認すると、保険会社への連絡を一度で済ますことができます。
 

<照会対象外の保険契約がある>

表2の保険契約は照会の対象ではありません。
 
【表2】


 

制度を利用する前にできること

平時に生命保険契約照会制度を利用するには、手数料がかかり必要書類をそろえるなどの手間と時間がかかります。
 
保険会社はわからなくても、亡くなった家族が生命保険に入っていた事実を知っていたならば、生命保険契約照会制度を申請する前に表3のことを試してみましょう。
 
【表3】


 

まとめ

せっかく生命保険に加入して長い間保険料を納めても、亡くなった時の保険金は家族が請求しなければ受け取れません。
 
未請求のままでは故人もうかばれませんので、「生命保険契約照会制度」を利用してみましょう。「生命保険契約がある」ことだけでもわかれば、受け取る権利のある保険金を知らずに放棄してしまう事態を防ぐことができます。
 
ただし、制度を利用すると手数料や書類が必要になりますので、最初から生命保険契約があると知っているなら、まずは保険証券などの物的証拠や銀行口座の保険料振込履歴などの状況証拠を探してみましょう。
 

出典

一般社団法人 生命保険協会 ホームページ
 
執筆者:岩永真理
一級ファイナンシャル・プランニング技能士

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