SpaceX、民間初の船外活動用新宇宙服をお披露目

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SpaceX、民間初の船外活動用新宇宙服をお披露目
Screenshot: SpaceX:|SpaceXは月と火星への将来的なミッションにも、今回の新宇宙服を使いたいようです

シュッとしてる!

現在、SpaceX(スペースエックス)社が打ち上げの準備を進めている民間宇宙飛行士によるミッションでは、民間初の船外活動を実施する予定です。そのために同社が開発した、新たな宇宙服のデザインが公開されました。

民間宇宙飛行ミッション「Polaris Dawn」とは?

現地時間の5月4日に公開されたアップデートの中で、SpaceXは長く待ち望まれた船外活動(EVA)用宇宙服のデザインを明かしました。

この新宇宙服を着用することになるのは、「Polaris Dawn」のクルーたち。Polaris Dawnは、億万長者ジャレッド・アイザックマンが後押しする民間宇宙飛行プログラム「Polaris計画」の3つあるうちの初回ミッションで、その打ち上げは今夏以降に予定されています。

5日間に及ぶPolaris Dawnミッションでは、SpaceXの宇宙船「ドラゴン」が地球を周回する楕円軌道に打ち上げられます。民間宇宙飛行士たちはそこでデータを収集し、さまざまな研究と実験を行なう予定。同ミッションの目玉の1つが、民間宇宙飛行士による史上初の宇宙遊泳の実施です。また宇宙船「ドラゴン」から宇宙遊泳が行なわれるのも初めてになります。

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新たな船外活動用宇宙服をお披露目しているPolaris Dawnの皆さん
Photo: Polaris Program

SpaceNewsが2月に出した記事は、この新たな船外活動用宇宙服の設計プロセスでSpaceXが苦戦していたかもしれないと報じていました。元々Polaris Dawnは2022年第4四半期に打ち上げられるはずでしたが、度重なる延期に見舞われることに。延期の理由は主に新型宇宙服の設計だった可能性が高そうです。

その記事には、SpaceXは与圧服のデザインを船外活動用宇宙服へと変換するのに必要な作業量を大いに過小評価していたという、関係者のコメントが掲載されていました。

1月には、同社のイーロン・マスクCEOが発表の場でこう語っていました。

実際に着た状態で動き回れるよう宇宙服を再設計しなくちゃいけない。膨らんだ宇宙服でも動きやすくするのは極めて難しい。

SpaceXはようやく対処できたのかもしれません。

既存の船内宇宙服がベース

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SpaceXの宇宙船「クルードラゴン」内の宇宙飛行士たち
Photo: Polaris Program

SpaceXの新しい宇宙服は、現在ドラゴン宇宙船のクルーたちが着ている同社の宇宙服を進化させたデザインで、船外活動をサポートするための機能が追加されたもの。前述のアップデートには、以下のように説明されています。

機動性を念頭に置いて開発され、SpaceXチームは新素材に製造プロセス、そして新たな関節デザインを取り入れ、与圧されたシナリオでは宇宙飛行士たちにさらなる柔軟性を与えながら、与圧されていないシナリオでは快適さを保ちます。

3Dプリントされたヘルメットには、船外での作業中に太陽からの眩しい光を軽減するためのサンバイザーと、宇宙服の圧力・気温・相対湿度の情報を示すヘッドアップ・ディスプレイ(HUD)とカメラを搭載。SpaceXによると、この新しい宇宙服のデザインには宇宙遊泳の初めから終わりまで与圧状態を確実に保てるようシールと圧力弁も備わっているとのこと。

新型宇宙服は、さまざまな体形に合わせられる拡張可能な設計を採用しています。これは、SpaceXが人類の宇宙へのアクセシビリティ向上を目指しているためです。

月と火星への有人探査を見据えながら、今回の宇宙服開発にあたっていたという同社。将来的には火星を植民地化するという壮大なビジョンにおいても使えたらと考えているようです。

Source: SpaceX, SpaceNews, X,