小山内美江子さん「苦労なんて私たちがすればいいんだから」新人記者人生初インタビューで語った言葉

スポーツ報知
小山内美江子さん

 TBS系「3年B組金八先生」、NHK大河ドラマ「徳川家康」などを手がけた脚本家・小山内美江子(おさない・みえこ)さんが2日朝、老衰のため、横浜市内の病院で亡くなった。94歳。長男で俳優の利重剛(61)が10日、公式サイトで明らかにした。葬儀は家族葬で営まれた。

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 2018年、入社して人生初めてのインタビュー取材が小山内さんだった。緊張しながら名刺を差し出すと、手を見ながら「あなた、きれいな手をしているわね。肌もきれいで、苦労したことないでしょ? でも、それでいいの。苦労なんて私たちがすればいいんだから」。そう言ってニコっと笑った顔が今でも忘れられない。

 緊張しすぎて真っ青になっていただけだが、「色白の若い記者」と覚えていてくれて、後日週刊誌のインタビューで「孫みたいな若い子に取材をされた」とネタにしてもらった。

 「私が生きている間に何でも聞きに来なさい」と言われたことをいいことに、2019年に本当にあいさつしに行ったことがある。ただ、小山内さんが転んで背中を圧迫骨折した後だった。頭を強打した影響で2~3年前の記憶があまりなかったようで、記者を思い出してはくれなかった。

 ただ、記者の手を見ると全く同じ言葉が飛んできた。「苦労したことのない手をしてるわ。でもね、苦労なんて私たちがすればいいの。知識だけはあるから。今日は何でも私に聞いて」。1964年の東京五輪について尋ねた後の「また来るのよ」の言葉が自分にとって最後だった。もう尋ねに行けないのが寂しいです。(増田 寛)

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