【プチ鹿島の本音】自民に「お灸をすえる」何度目か

スポーツ報知
プチ鹿島

 定番のフレーズってありますよね。最近よく見かけたのは「お灸(きゅう)をすえる」という言葉です。灸で治療をするという意味から、きつく注意したり罰を加えたりしてこらしめるという使い方がある。これって私のイメージではもう政治用語なのだ。政治家の不祥事が発覚したり、与党がだらしない政治を続けている状況で選挙を迎えると「お灸をすえる」という言葉が登場するからである。

 今回も4月末に行われた3つの衆院補欠選挙で自民党に対してよく使われていた。特に自民が候補者を出した島根の情勢を報じる紙面で見かけた。裏金問題を受けて「自民党にお灸をすえる」と各紙に載っていた。私が子どもの頃から自民党が何か不祥事を起こすたびに新聞で見かけていたから伝統的なフレーズといっていい。有権者のコメントだけでなく新聞の政治面でもよく使われている。

 そこで毎回感じることがある。「お灸をすえる」という言葉は実は自民党にやさしい態度ではないか? と。今回はきつく注意するけどこれに懲りて体質を治すのだよ、という叱咤(しった)激励に見える。そのうち完治できるという前提のようなものを感じる。しかし今回で何度目なのだろう。何かあるたびにお灸で対処しているだけで良いだろうか。そもそも自民党はまだお灸で改善できる体質なのか?

 たとえば裏金不記載問題では、そのあとの対応もダラダラしていて本当に政治改革するつもりには見えない。ようやく規制法改正案が出そうだが、透明化に消極姿勢だとツッコまれている。時間稼ぎをしていればそのうち有権者は忘れるだろうと高を括(くく)っているのだろうか。こうした現実に「お灸をすえる」というお約束の言葉はちょっとのんきすぎるように思うのだ。「容体」はもっと深刻なのでは?(時事芸人)

社会