「僕は登板後の３日間は使いものにならないのに…」菊池雄星が花巻東後輩・大谷に脱帽「二刀流自体考えられない」

◆米大リーグ　ブルージェイズ２―４ドジャース（２７日・カナダ・オンタリオ州トロント＝ロジャースセンター）

　ドジャース・大谷翔平投手（２９）が２７日（日本時間２８日）、敵地のブルージェイズ戦で花巻東（岩手）の３学年先輩に当たる菊池雄星投手（３２）と移籍後初対戦し、衝撃の一打を放った。２回の右前適時打で自己最速の打球速度１１９・２マイル（約１９１・８キロ）をマーク。今季好調の左腕が「打球が速すぎて見えなかった」と舌を巻くほどの超スピードだった。直接対決は３打数１安打１打点で、チームの６連勝に貢献した。

　後輩の打撃に脱帽すると同時に、最上級の敬意を表した。ブルージェイズ・菊池は昨季、渡米後最多の１１勝を挙げ、今季も試合前まで５試合で防御率２・２８と好調だった。「メジャー６年目で今が一番、自信を持って投げられている」と自負する通り今季最速９８・２マイル（約１５８キロ）を投じたが、大谷に自己最速の安打を献上。今季ワースト９安打を浴び、６回４失点で２敗目を喫した。

　大谷は昨季４４発で日本人初の本塁打王。ドジャース移籍後初の直接対決で後輩のすごみを肌で感じた。

　「二刀流をしていること自体が考えられない。僕は投手しかやってないですけど、投げ終わった後の３日間くらいは体が使いものにならない。彼は去年まで（先発した）その数時間後に打者で立っていた。その中であの数字を残したのは考えられない」

　同じメジャーの最前線を走る投手が言うのだから、やはり常軌を逸しているのだろう。右肘手術明けの今季は投手としての登板はない。今後を想像し、続けた。

　「今年、打者に専念したら疲労の度合いも違う。とんでもない数字がシーズン後に残っているんじゃないかなと」

　キングに輝いた昨季以上の大爆発を予言すると同時に、偉大な後輩の存在が自身の成長にもつながると強調した。

　「左右問わず（ＭＬＢで）ＮＯ１の打者だと思う。パワーも確実性も含め、毎年どんどんレベルアップするので、それに負けないように、対戦を楽しみにしながら、でも、どうやったら抑えられるかを日々考えながらやっていきたい。そういう打者と対戦できるのは自分のレベルアップにもつながるし、本当に幸せなことだと思います」

　ド軍移籍１年目ということもあり、例年以上に注目を集めた花巻東対決。雄星は「幸せなことですよ。岩手のみんなが久しぶりに『テレビに映るよ』と連絡をくれたので、有名になれるチャンスかなと思って頑張ろうかなと思いました」と笑った。今季の同カードは２８日（日本時間２９日）が最後で、次があるとすればワールドシリーズ。岩手から始まった２人の物語は続いていく。（中村　晃大）