「もう優勝が当たり前の時代じゃない。それでもやっぱり強くなきゃ」柴田勲さん、巨人・阿部監督にエール

スポーツ報知
巨人・高田繁、柴田勲、末次民夫(後楽園球場 1972年9月撮影)

 巨人球団創設90周年記念の連続インタビュー「G九十年かく語りき」の第5回は、主に1番打者としてV9に大きく貢献した柴田勲さん(80)の登場だ。日本初の本格的なスイッチヒッターは、代名詞とも言える赤い手袋とともに、縦横無尽にグラウンドを駆け巡った。時代の先駆者だった柴田さんが振り返る「喜怒哀楽」とは―。(取材・構成=湯浅 佳典、太田 倫)

 巨人のOB会長も務めた経験のある柴田さん。時の移り変わりに理解を示しつつも、常勝の看板は守っていってほしいと願う。

 「もう優勝が当たり前の時代じゃない。それでもやっぱり強くなきゃ。じゃないとファンは離れていくから」

 阿部監督に期待するのは、選手が野球の楽しさを感じられるような環境づくりだ。「難しく、苦しく、萎縮させるような野球じゃなくてね。バッターは三振してもいいから思い切って振ってこい。ピッチャーは打たれても全部が全部ホームランになりゃしないんだから、思い切って放ってこいって。そんなふうにお尻をたたいていってほしい」。それまでのくだけた口調から、一気に言葉が熱を帯びた。

 〇…最後に、柴田さんにとって巨人軍とは?と恒例の質問を投げかけた。しばし宙をにらんで考え、「青春の全て、かなあ…」と、ポツリと言った。「僕は巨人しか知らない。巨人に憧れ、巨人に入って、巨人で終わって。それからいろいろあったけど、巨人一筋。長嶋さんが『巨人は人生そのものだ』っていう、その思いはよく分かるんだ」。王さんも、堀内も、みんなきっと同じだと思うよと、しみじみと付け加えた。

 ◆柴田 勲(しばた・いさお)1944年2月8日、横浜市生まれ。80歳。法政二時代、エース兼主力打者として60年夏、61年春の甲子園で連続優勝し、62年に巨人入り。この年6試合で0勝2敗に終わり、翌年から外野手に転向。俊足の1番打者として盗塁王を6度獲得。通算2208試合に出場。2018安打、708打点、194本塁打。打率・267。通算盗塁数579個は現在もセ・リーグ記録。

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