ボクシング・井上尚弥「とてつもない試合ができる」6日34年ぶり東京D決戦「素晴らしい環境とタイミング」

スポーツ報知
4本のチャンピオンベルトを手にした井上尚弥(左)はサングラスを外すルイス・ネリを静かに見つめる(カメラ・堺 恒志)

◆プロボクシング ▽WBA、WBC、IBF、WBO世界スーパーバンタム級(55・3キロ以下)タイトルマッチ12回戦 4団体統一王者・井上尚弥―WBC同級1位ルイス・ネリ(6日、東京ドーム)

 4大世界戦の公式会見が4日、横浜市内で行われ、世界4団体スーパーバンタム級統一王者・井上尚弥は「とてつもない試合ができる」と6日の東京ドームでのルイス・ネリ戦へ気合をみなぎらせた。米老舗雑誌「ザ・リング」や各ブックメーカーは圧倒的な井上有利と予想も、きっちり仕上げてきたネリに対して油断はない。「必ずKOにつなげて勝つ姿を見せたい」と、自身の日本記録に並ぶ世界戦8戦連続KO勝利で歴史的な一戦を飾るつもりだ。

 会見後の写真撮影で、王者・井上尚とネリが並ぶと会場の空気が一変した。カメラマンがフラッシュをたくと、国内外の関係者も一斉に携帯電話のカメラを向けた。少し間を置いて王者・井上尚に、サングラスを取ったネリが近づく。張り詰めた緊張感の中、会見から全く目を合わさなかった2人が笑顔で握手を交わした。引き締まった相手の体を見たモンスターは「ネリもすごくいい状態に仕上がっていると聞いていますので、とてつもない試合ができるんじゃないかな」と歴史に残る一戦を約束した。

 34年ぶりとなる東京ドームでの世界戦興行には4万人超の集客が見込まれる。井上尚は「こんなに素晴らしい環境とタイミングがそろった試合はまずない。4つのベルトを守るというモチベーションを生かし、勝ちにいきたい」と大歓声が待ちきれない様子だった。

 周囲の予想では王者の圧倒的有利だ。「ザ・リング」では、20人の識者全員が井上尚の勝利とした。内訳はKO(9人)、TKO(9人)、判定勝ち(2人)。5回から7回の間にTKO勝ちとしたダグ・フィッシャー編集長は「彼のスピード、タイミング、正確さを考えると、試合序盤に生意気なメキシカンをあ然とさせるだろう」と指摘した。

 各ブックメーカーのオッズにも優位が表れている。英大手の「ウィリアムヒル」では4日時点で井上尚の勝利に1・06倍、ネリ勝利に8倍のオッズを付けた。

 いとこでサウスポーの前WBOアジアパシフィック・スーパーライト級王者の井上浩樹(31)を“仮想ネリ”として練習を積んできた。有利の声にも「気を引き締めて臨みたい」と王者に油断は一切ない。

 ネリ戦では、自身の日本記録に並ぶ世界戦8戦連続のKO勝利が懸かる。米興行大手「トップランク」のボブ・アラムCEO(92)はこの日、「井上(尚)はレジェンド。世界中の人が注目している」と絶賛。日本の枠を飛び越えたスーパースターが国内外のファンを酔わせる。(戸田 幸治)

 〇…タイソン―ダグラス(ともに米国)戦以来、34年ぶりの東京ドーム興行をプロモートする大橋秀行会長は、今回の観客動員予定数は4万人超と明かした。最高額22万円のアリーナSRS席は完売するなど、すでに98%が売れたそうで、「900枚弱を残すのみ」という。当日券販売も予定される。試合は、日本国内ではPrime Videoでライブ配信されるが、関係者によると、海外でも米国、英国など50か国・地域で中継される、まさに世界注目の一戦となる。

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