【高校野球】大院大高、春30年ぶりの決勝 プロ注目遊撃手・今坂幸暉が決めた「ここまで来られてホッ」

スポーツ報知
5回、一時勝ち越しとなる右越え2塁打を放った大院大高・今坂

◆春季大阪府大会 ▽準決勝 大院大高3―2大商大高(11日・大阪シティ信用金庫スタジアム)

 春季大阪府大会は準決勝が行われ、大院大高が大商大高との接戦を制し、春は1994年以来30年ぶりの決勝進出を果たした。5回にプロ注目遊撃手・今坂幸暉主将(3年)が決勝打。4回戦で履正社、準々決勝で今春センバツ出場の大阪桐蔭を撃破した勢いのまま12日の決勝で春初優勝を狙う。元ロッテの喜多隆志監督(44)率いる興国は、東海大大阪仰星を退け、春は45年ぶりの決勝進出を決めた。

 勝利にナインの表情が和らいだ。3―2の最終回、2死二、三塁のピンチを乗り切り、30年ぶりとなる決勝の舞台をこじ開けた今坂は「ここまで来られて、ホッとしている気持ちと、うれしい気持ちがある」と、胸をなで下ろした。

 安堵(あんど)したのには訳がある。4回戦で履正社に9―8でサヨナラ勝ちし、準々決勝では大阪桐蔭に2―1の逆転勝ち。同一大会でこの2校を破ったのは、09年夏の大阪大会で優勝したPL学園以来の快挙で、周囲から「(準決勝も)勝って当たり前」の声が飛んでいた。この日、試合前のキャッチボールからナインは硬く「9回までほぐれることなく。ロボットが試合しているのかなって」と、辻盛英一監督(48)は苦笑い。今坂も「プレッシャーがないと言えばうそになる。結果を出そうと自分が固かったから、みんなにも固さが出てしまった」と明かした。

 ただ、この劣勢を打破したのも、今坂自身だった。同点に追いついた5回2死一塁、捉えた初球は右翼手の頭を悠々越えた。適時二塁打で、勝ち越しの走者が生還。「終盤に強いチームが本物の強いチームだとやってきた。(春は)そこがしっかり出ている」。後半勝負で“大阪2強”を破り得たものは、プレッシャーだけではなかった。

 30年前の決勝は、PL学園に敗れた。再び巡ってきた初優勝のチャンスだが「特別意識することはない、学院の野球をやっていきたい」と今坂。試合中はノーサインで、アイコンタクトなどで意思疎通する。決勝も変わらぬスタイルで頂点をつかみ取る。(瀬川 楓花)

 巨人・水野スカウト部長「(今坂は)走攻守でいい選手。高校生のショートではトップクラス」

 ◆今坂 幸暉(いまさか・ともき)2006年10月19日、山口・下関市生まれ。17歳。安岡小2年時に下関ボーイズで野球を始め、小3から福岡・苅田ボーイズに所属。安岡中でも同チームでプレーした。大院大高では1年夏に背番号19でベンチ入りし、同秋から背番号6。178センチ、80キロ。右投左打。

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