DeNA・筒香嘉智、史上初メジャーから復帰初戦弾…“苦手”速球攻略 ほえた逆転V3ラン

スポーツ報知
8回2死一、二塁、筒香が逆転3ランを放ち、バンザイするDeNAベンチ(カメラ・岡野 将大)

◆JERA セ・リーグ DeNA6―5ヤクルト(6日・横浜)

 DeNA・筒香嘉智外野手(32)が、5年ぶりの復帰初戦でいきなり逆転3ランを放った。1軍昇格即、ヤクルト戦(横浜)に「6番・左翼」で出場し、2点を追う8回2死一、二塁の4打席目に、エスパーダから右中間へ。NPBでの本塁打は2019年10月6日のCS第1ステージ第2戦の阪神戦(横浜)以来、1674日ぶり。公式戦では同年9月14日のヤクルト戦(横浜)以来1696日ぶりとなる一発で、健在を示した。

 横浜の夜空に、「ただいま」を告げる放物線を描いた。日本復帰戦で飛び出した筒香らしい豪快なアーチは、試合をひっくり返す逆転3ラン。2点を追う8回2死一、二塁からエスパーダの初球直球を振り抜くと、打球はベイ党が総立ちになった右中間席へ消えた。感情のままにほえ、「ファンの声援が力を貸してくれた。ダイヤモンドを一周している時は特別な時間だった」とかみ締めた。

 予兆はあった。3打席目には、あと30センチほどでサク越えかという左中間フェンス直撃の二塁打。復帰後初安打を放ったが、ベンチでは四方八方から「ご飯もっと食べろ!」とパワー不足(?)をいじられてタジタジだった。それでも「僕の一つのバロメーターが逆方向。非常にいい感覚で最後の打席に入れた」と手応えがあった。メジャーで苦手と指摘された速球を攻略した2安打でもあった。

 厳しい道のりを経て、横浜に帰港した。19年終了後にメジャー挑戦。戦力外通告やマイナー生活を何度も経験し、通算18本塁打に終わった。昨季はメジャー出場なし。それでも「数多くの失敗から、いろんなものを少しずつちょっとずつ積み上げてきた感覚はある」と、かけがえのない経験値を高めて古巣に戻ってきた。

 強い決意もあった。DeNAは1998年を最後に優勝がない。12球団で最も頂点から遠ざかる。20年にレイズでワールドシリーズも経験。2軍合流時には「優勝するためには、個人がもっとその方向を向いて、強い気持ちを持たないとダメ」とナインに訴えた。試合前には「緊張する」と漏らしたが、試合後はロッカーでもみくちゃにされ、早くもチームの中心になった。

 横浜高時代から慣れ親しんだ球場で、プロ1号も100号も200号もハマスタ。3万3284人のファンを前に、「高校時代からこの横浜スタジアムでプレーさせていただき、そしてまたプロに入ってもプレーできるというのは、僕自身非常に幸せ」と実感を込めた。

 アレルギー検査から食事面を見直すなど、肉体改造をして挑んだシーズン。「これだけのファンの前でプレーできることを本当に幸せだと思っている」。復帰初戦から役者の違いを見せ、再スタートを切った。(安藤 宏太)

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