【番記者の視点】グスタフソンが絶賛する浦和の「左サイド」 中島、大久保、渡辺が生み出す化学反応

スポーツ報知

◆明治安田J1リーグ▽第12節 浦和2―1横浜FM(6日・埼玉、4万0579人)

 【浦和担当・星野浩司】浦和のMF伊藤敦樹が珍しく雄たけびを挙げた。「いろいろたまってるものもあったので、やっと決めることができて感情が爆発しました」。前半42分、開幕から決定機を外し続けた背番号3が今季初ゴール。だが、あえて注目したいのは伊藤の得点を生んだ「左サイド」の崩しだ。

 敵陣左のDF渡辺凌磨のスローインからゴールまでわずか7秒。FWチアゴサンタナ、FW中島翔哉、MF大久保智明、そして再び中島へとダイレクトでパスをつなぎ、伊藤へのラストパスから先制した。選手同士の距離感、イメージの共有、そして流動的な動き。全てが完璧に近い連係だった。

 試合後、中島に大久保との関係性を聞くと「僕は(意識してることは)ないけど、トモ(大久保)に聞いてください」とかわされたので、大久保に同じ質問をした。「すごくやりやすい。相手と相手の間に立っていればパスは出てくるイメージはある。どんなに相手が(間を)締めていてもパスが出てくる。そういう際(きわ)を楽しめている」と明かした。

 この日の配置は4―3―3の左ウィングに中島、左インサイドハーフ(IH)に大久保、左サイドバック(SB)に渡辺。中島はIHやトップ下、大久保と渡辺はウィングを比較的得意としてきた。これまでの特長を考えれば大久保と中島の位置は逆がベターにも思えるが、本職とは違うポジションで先発を任され、存在感を示している。

 開始8分、自陣左の大久保が相手2人のわずかな間を通す縦パスを中島へ送り、左で張った渡辺との連係で前進。前半28分には中島が左から中盤中央へドリブル、浮き球パスをペナルティーエリア左で受けた大久保がフィニッシュした。

 左の3人の“化学反応”は随所に見られた。互いにウィング、IHの経験があるだけにその役割や“いてほしい立ち位置”を感じあい、流動的にポジションを動くことで相手を混乱させているように感じた。渡辺は「翔哉くんがサイドに張ってる時は、中に入って受けようかなとか。相手によって可変してくのは、許される限り、選手間でやっていきたい」と話した。

 中盤底のアンカーで3人と関わるスウェーデン代表MFサミュエル・グスタフソンは「左サイドはよい選手が集まっていて、いい関係性だと思う」と言う。「ポジションをローテーションして相手に迷いを生じさせることもできる。翔哉は中に入りたがってスピードもあり、凌磨は上下運動が激しくて1対1ができ、トモはスペースを見つけるのがうまい。僕は左の低い位置におりて、かなりいいダイナミズムが生まれてる」と絶賛した。

 左ウィングは開幕当初から主力を担った関根貴大、松尾佑介が負傷離脱中で、中島が直近4試合連続でプレーしている。左IHは主軸の岩尾憲がケガで不在の中、安居海渡、大久保とタイプが変わってもその連係は試合をおうごとに深まっている。

 ヘグモ監督は左ウィングと左IHについて「翔哉とトモの組み合わせで関係性を深めるという意味では非常に良かった」。チーム事情で陣容を変化させながら「左サイド」が浦和の強みとなっている。

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