3月のロシア大統領選で勝利したプーチン大統領の就任式が行われ、通算5期目がスタートした。
2030年までの任期を全うすれば、首相時代を含めた権力掌握期間は旧ソ連時代の最高指導者スターリンの29年を超える。事実上の終身独裁政権だ。
そもそも大統領選は政権に批判的な候補の出馬が認められなかった。公正な選挙ではなかった以上、正統性を得たとは言えない。
プーチン氏は就任演説で「共に勝利しよう」と述べ、3年目に入ったウクライナ侵攻の継続に向けて国民の結束を呼びかけた。ウクライナ支援を続ける日米欧に対抗する姿勢も改めて示した。
米国内の党派対立でウクライナへの軍事支援が遅れた間に、ロシア軍は攻勢を強めている。
侵攻はウクライナの主権や領土を侵す暴挙であり国際法違反だ。一刻も早く軍を撤退させなければならない。国際社会はそのためにさらに力を尽くす必要がある。
就任式に先立ち、ロシアは戦術核兵器の使用を想定した演習の準備を始めたと発表した。核使用も辞さないと繰り返し示している。
人類を恐怖に陥れる愚かな対応であり、言語道断だ。
プーチン氏は就任後の初外遊として15日に中国を訪問し、習近平国家主席と会談する予定だ。
日米欧が侵攻への制裁を科す中で、ロシアは中国への依存を深めている。主要輸出品の原油は半数近くが中国向けとされるが、買いたたかれて財政事情は苦しい。
ロシアは侵攻を続ける限り、衰退の一途をたどるだけだ。
習氏は訪問先のフランスでマクロン大統領と会談後、中国は「平和のために積極的な役割を果たしてきた」と述べた。そうであればロシアへの支援をやめるべきだ。
ロシアは中国だけでなく、北朝鮮やイランからも武器支援を受けている。特に北朝鮮との蜜月ぶりが目立つ。ロシアの技術支援を受け、北朝鮮が核・ミサイル開発を加速させることが懸念される。
プーチン氏はインドなど「グローバルサウス」と呼ばれる新興・途上国との関係強化に注力する。だが、力による現状変更には警戒感が強いことを認識すべきだ。
国内では反政権の動きをいっそう厳しく弾圧している。それでも侵攻に反対する世論や政権批判の動きがなくなることはない。
3月にはコンサートホールで銃乱射テロが起きた。強権的手法だけでは国内を安定させることができないことを忘れてはならない。
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