農業の第三者継承に期待 岩手県や業界団体がマッチング支援

地元農家から経営を継承し、酪農家として独立した中野渡和也さん(左)=田野畑村三沢

 少子高齢化で農業の担い手が減る岩手県内で、農家が親族以外の第三者に経営を継承する手法への期待が高まっている。新規就農者は農地や機械などの経営資産に加え、栽培技術などのノウハウや販路も引き継ぐことができ、メリットは大きい。円滑な継承は農業の持続的な発展にとって重要で、県と農業団体は支援センターを立ち上げてマッチングに力を入れる。

 「山地酪農に挑戦したいと考えていた」。田野畑村千丈の中野渡和也さん(38)=青森市出身=は、後継者がいない地元酪農家の畠山春生さん(77)から乳牛30頭とトラクターなどを引き継いだ。

 農林水産省の20年農林業センサスによると、県内の基幹的農業従事者は4万4458人で、10年比33%減。65歳以上は全体の74%を占め、担い手の確保が課題となっている。

 県や農業団体は23年5月、新規就農から経営まで一元的にサポートする「県農業経営・就農支援センター」を設置。第三者継承に向け、市町村、農協などと連携して希望者の情報を収集・共有し、マッチングを支援している。

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