Gourmet

なぜ今年「日高屋」が突然ブームに?ラーメン390円のコスパだけじゃない“納得の理由4つ”

 外食産業の再始動が本格的となった今年、最もアツかった飲食店のひとつが、日高屋だろう。「熱烈中華食堂日高屋」(以下、日高屋)などを展開するハイデイ日高は今年10月上旬、2023年3~8月期単体の営業損益が24億200万円の黒字だったと発表した。1億9500万円の赤字だった前年同期とは打って変わって大幅な回復に成功。加えて、売上高は前年同期比35.2%増の237億9600万円。各月の月間売上高、累計売上高ともに過去最高額を記録したという。
日高屋の店舗

日高屋の店舗

 同社の大躍進の背景にはメイン事業の日高屋の存在は大きい。日高屋は以前から街中でよく見かけるラーメンチェーンの一つでしかなかった。にもかかわらず、なぜ急に日高屋ブームが巻き起こっているのか。それには様々な納得の要因がある。

1:人目を気にせず食べられる、女性にも優しい店舗設計

 まず、女性でも気軽に入りやすいことが大きい。全店舗ではないが日高屋では基本的に、テーブルに設置されたタッチパネルで注文する。ラーメン屋や中華料理店などでは直接オーダーをするケースがあり、他の人に注文を聞かれることは正直ダルい。食券制の店舗も珍しくないが、それでも食券を渡した際に注文したメニューを声高に叫ばれる。
日高屋の店内2

1人でも一切の気兼ねなく食事ができる店内

 「『こいつ、めっちゃ食うじゃん』と思われたらどうしよう」ということが少しでも頭をよぎると、どれだけ“ラーメンの口”になっていても店からは足が遠ざかってしまう。しかし、タッチパネル注文ならそのリスクはなく、思う存分注文できる。

2:いい意味で淡々とした実家のような安心感

 タッチパネルがあることの効用は他にもある。注文する必要がなく、タッチパネルで「会計」のボタンを押して、伝票をレジに持って行けば会計ができるため、日高屋に入って店を出るまで店員とのコミュニケーションは最小限で良い。一言も発することなく、お腹を満たすことができるのだ。  日高屋にいると人と人との触れ合いを気にしなくて良い。利用客はただ黙々と飲み食いをしており、周囲を気にすることなく自分だけの世界に浸れる。
日高屋のメニュー

ファミレスや居酒屋でもよく見かけるようになったタッチパネル

 もちろん団体客もいる。しかし、ただただ無言で食べ進める人が多いからなのか、大きい声で話す人は少ない印象。カフェで制服を着た学生が勉強している姿を見ると、人はどうしても話し声を小さくしたくなるものだ。それと同様に「あまり騒がしくするのも何か悪い」という心理が働くのかもしれない。加えて、店内が明るく、学生や子連れなど幅広い利用客がいるため、下世話な話を大声で話せる雰囲気でもない。  そういったいい意味で淡々とした雰囲気なので、ナンパのように誰かから話しかけられる心配もあまりない。女性に限らないが、店内の居心地が良いからこそ、多くの利用客やリピーターを生んでいるのではないか。
次のページ 
ラーメンは390円、1000円台で“ちょい飲み”も
1
2
3
Cxense Recommend widget
あなたにおすすめ