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「服を捨てなければよかった」“片付け本”流行に乗った後悔の声があちこちから出る理由

わたし史上最高のおしゃれになる!』『お金をかけずにシックなおしゃれ』などの著書があるファッションブロガー小林直子さんが、愛用しているアイテムをご紹介します。

服を捨てたことを後悔している話があちらこちらで

いらない服を整理する女性

古い服は、ただ古いというだけでもう着られない?
※写真はイメージです

「服を捨てなければよかった」というセリフを最近、聞くようになりました。どんな状態の服を捨てたのかはわかりません。ただ、捨てたことを後悔している話があちらこちらで出ています。その理由は、もう買えないから。  捨てることが流行りだしたのはいつごろからでしょうか。かなり昔からあったとは思いますが、服に関して「捨てるべき」と強く言われ始めたのは、2010年以降、いろいろな片付け本が出てからではないかと思います。それ以前の捨てる対象は主にガラクタであり、まだ着られる服までも捨てるようになったのは、この10年ぐらいのことでしょう。  もちろん服もモノなので、永久に使えるわけではありません。破れたり、しみがついたり、壊れたりもします。また衣類は洗濯によって劣化しますので、洗濯回数が多い下着類は早くに傷みますし、素材の組成にポリウレタンが入っていればなおさらです。  しかし、着用や洗濯の回数が少ないコートやジャケット、たまにしか着ないワンピースなどはそれほど傷みません。1年、2年で着られなくなるということは、よほどなことがない限りないでしょう。捨てて後悔している服とは、まだ着られるにもかかわらず捨ててしまったものだと推測できます。  さて、古い服は、ただ古いというだけでもう着られないのでしょうか。モノとしてではなく、デザイン的にも古い服は着ると変なのでしょうか。

ブランドアイテムはもちろん他の古い服でも十分に着られる

 昨年、ディオール、そしてサンローランと戦後のファッションを代表するメゾンの大規模な展覧会が開催されました。両方見に行きましたが、どちらも今もそのまま着られる服ばかりでした。これらを古いからという理由で捨てると言う人がいたら、皆喜んでもらっていくでしょう。
 もちろんディオールもサンローランもラグジュアリーブランドですから、高価なものです。では、もっと安価なものであったら、古いという理由で着られないのでしょうか。  そんなことはないでしょう。古着屋やセカンドハンドを扱うショップでは、今でも多くの人が古い服を買っていますし、実際、日常的に着ています。モノとして傷んでいないのなら、古い服でも十分に着られるのです。
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90年代では通勤着としてヘルムート・ラングを着用
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