防衛大いじめ訴訟、原告の請求棄却 横浜地裁判決「指導の範囲を逸脱せず」 暴行主張も「裏付ける証拠ない」

判決言い渡し後、「不当判決」の垂れ幕を掲げる原告側弁護団や支援者ら=15日、横浜市中区

 防衛大学校(横須賀市)で上級生らからいじめを受け、大学側は適切な対応を怠ったなどとして、元防衛大生の30代の男性=埼玉県=が国と上級生に計約4600万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、横浜地裁(藤岡淳裁判長)は15日、男性の請求を棄却した。原告側は控訴する方針。

 訴訟で男性側は「学生間指導」名目で上級生から寮の部屋に何度も呼び出され、罵倒されたなどと主張。藤岡裁判長は「厳しい指導をした可能性はあるが指導の範囲を逸脱しておらず、いじめや違法性があったとは言えない」と判断した。

 また男性側は上級生らから腹を踏まれる暴行を受け、うどん2キロの完食を強要されたなどとも主張したが、藤岡裁判長は「裏付ける証拠がない」などと退け、学校側の安全配慮義務違反も認められないとした。

 判決によると、男性は2013年4月に入校。同11月以降、複数回リストカットしたり過呼吸になったりし、適応障害や抑うつ状態などと診断された。17年9月には退校を命じられた。

 判決後の記者会見で原告側弁護団は「極めて不当な判決」と憤った。防衛大は「国の主張が認められたものと受け止めている」などとコメントした。

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