設置された移動式ランドリー=道の駅ようか但馬蔵

 兵庫県養父市養父市場の運送会社「山本運輸」が、車でけん引できるコンテナ型移動式ランドリー「COMOREBI(こもれび)」の運営を始めた。通常時はコインランドリーとして道の駅やキャンプ場などに設置し、災害時には避難所に出向いて被災者らの衣服を洗えるようにする。同社は、養父市と災害時の連携協定を締結。山本洋介社長は「こもれびのように優しく温かく、被災者に寄り添っていきたい」と力を込めた。(吉田みなみ)

 全国災害ボランティア支援機構(神戸市)の高橋守雄代表理事によると、避難所生活ではプライバシー保護が課題で、洗濯物の干し場に苦慮しているという。特に女性の下着などは他人に見られたくない人が多く、目隠しのため新たに間仕切りを作る手間がかかることもあるという。

 山本社長は、東日本大震災などの際にトラックで現地に物資を届けた経験がある。2022年7月には、同社が所有するキャンピングカーを供出し、災害時に電源や温水シャワーを利用できるよう、養父市と協定を結んだ。移動式コインランドリー事業も「被災者支援につながるなら」と同年9月に着手。コンテナ制作会社などとも協力し、約1年かけて準備を進めた。

 コンテナ内部には、コイン式の洗濯乾燥機9台を並べた。同コンテナでは1カ所の蛇口で全ての洗濯機の水を賄え、非常時は雨水をタンクにためて使うこともできる。洗濯のみなら最大6キロ、洗濯と乾燥なら最大3キロの衣類に対応できる。洗剤の投入は不要。

 7日には、養父市の防災拠点になっている同市八鹿町高柳の施設「道の駅ようか但馬蔵」にコンテナを設置。お披露目と協定の締結式を行った。

 協定では、市内で大規模災害が発生した場合に活用するほか、養父市と災害応援協定を結ぶ全国の自治体(宮城・塩釜市、京都・福知山市など)から支援要請があった際にも駆けつけるという。

 山本社長は「物資を届けること以外にも、被災者を手助けできる方法が今やっと形になった」と力説。広瀬栄市長は「ぜひ困っている人の力になってほしい」と話した。コンテナは、ようか但馬蔵に10月末まで設置する。山本運輸TEL079・665・0344