新緑の京都、葵祭が始まる 華やか斎王代など行列、8キロを進む

腰輿に乗り込む斎王代(15日午前、京都市上京区・京都御所)

 京都三大祭りのトップを飾る葵祭が15日、京都市内で繰り広げられた。平安装束の約500人が織りなす行列「路頭の儀」は、長さ1キロ近くに及び、新緑の都大路で見守る人たちを優雅な王朝絵巻の世界に引き込んだ。

 午前10時半ごろ、行列が京都御所(上京区)の建礼門前を出発した。本列は銀面を着けた馬に乗る「近衛使代(このえつかいだい)」を、騎馬の乗尻(のりじり)やフジで彩られた牛車が先導した。女人列では花傘を差しかけられた命婦(みょうぶ)らを従え、十二単(ひとえ)姿の「斎王代」が専用の輿(こし)「腰輿(およよ)」で通りかかると、見物者が一斉にカメラのシャッターを切っていた。

 第66代斎王代の松浦璋子(あきこ)さん(22)は出発前、「天気に恵まれ、新緑に鮮やかな装束が映えるすてきな一日になると思う。心を込めてご奉仕させていただきたい」と語り、フタバアオイで飾られた腰輿に穏やかな表情で乗り込んだ。

 葵祭は下鴨神社(左京区)と上賀茂神社(北区)の例祭で、正式には賀茂祭という。両神社へ向かう行列が路頭の儀で、約8キロを練り歩く。両神社では国の安寧を祈る「社頭の儀」が営まれた。

 午前11時の気温は21.9度と天候に恵まれ、人出は午前10時半現在で約1万5千人(京都府警調べ)だった。新型コロナウイルスが感染症法上の「5類」に移行して1年が経過したこともあり、沿道には外国人観光客らの姿も目立った。

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