半導体の業界団体 長崎工高で出前授業 人材育成に向け初実施、九州の強みアピール

半導体に摩耗や故障といったトラブルが生じにくい理由を考える生徒たち=長崎市岩屋町、長崎工業高

 長崎県立長崎工業高が半導体産業の人材育成に向け新設した科目「半導体製造技術」の一環で、関係企業・団体による出前授業が17日、長崎市岩屋町の同校で初実施された。九州半導体・デジタルイノベーション協議会(SIIQ(シーク))コーディネーターの神田誠氏が、九州での動向や将来性について解説した。
 同科目は工業化学科3年生25人が基礎、応用例、製造方法を総合的に学ぶ。初回講師の神田氏は三菱電機で設計や開発に携わり、現在は産学官金でつくるSIIQに出向中。
 神田氏によると2023年、九州の半導体生産額は1兆1534億円。16年ぶりに1兆円を突破し過去5番目の高水準となり、国内シェアの約半分を占めた。半導体製造装置の生産額も4294億円と過去最高だった22年に次ぐ水準だった。設備投資計画は21年4月~今年2月の公表分だけでも計4兆7千億円を超え、神田氏は「国は九州を世界の産業サプライチェーン(供給網)の中核にしようとしている」と述べた。
 日本の半導体産業は1990年代以降衰退したが、「製造装置や素材といった得意分野がまだあり、巻き返せる。九州にはそのほとんどの製造拠点がある」と強調した。
 半導体の種類を人体にたとえて紹介。「メモリー」は記憶をつかさどる脳、「マイコン」は制御を担う神経、「光半導体」「画像センサー」が目や耳、「パワーデバイス」は心臓や筋肉の役目を果たすとした。一般的にメモリーやマイコンはデジタル半導体に分類され、熊本県に進出した台湾積体電路製造(TSMC)が得意とし、センサーやパワーデバイスに使われるアナログ半導体は九州が強みにしているという。
 神田氏は「世界的に知られる半導体企業が長崎にもあるので(就職先を考える上で)調べてみて」と生徒に促した。

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