「全人類が協力して対処を」地球の健康と核廃絶 長崎大教授が講演、市民講座

長崎大の教授が講演した核兵器廃絶市民講座=長崎市平野町、長崎原爆資料館ホール

 県と長崎市、長崎大でつくる核兵器廃絶長崎連絡協議会(調漸会長)は18日、長崎市内で本年度最初の核兵器廃絶市民講座を開いた。同大大学院熱帯医学・グローバルヘルス研究科の春日文子教授ら2人が、同大が目指すプラネタリーヘルス(地球の健康)と核廃絶をテーマに講演。春日氏は気候変動の問題など人類が生存の危機に直面しているとして、核兵器や地球環境の問題に「全人類が協力して対処を」と訴えた。
 分野横断的な同大大学院の「プラネタリーヘルス学環」教授も務める春日氏は人間の社会経済活動が、気温や海面上昇など地球環境に深刻な影響を与えている状況を説明。「核兵器の製造などに力や金を使っている場合ではない。プラネタリーヘルスの実現に向け、核廃絶は最低限必要な当たり前の行動」と語った。
 同大核兵器廃絶研究センターの吉田文彦センター長は、全面核戦争が起きた場合に地球の大規模な環境変動による氷河期が到来する「核の冬」など国内外の研究結果を紹介。「核兵器の問題を、人への影響と同時に地球全体を破壊するという問題意識を持って見る必要がある」と指摘した。
 オンラインを含め計105人が聴講した。

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