221年ぶりに周期ゼミの2集団が同時に大量発生、江戸時代以来

大合唱は「ジェットエンジン並み」の騒々しさか、米国

2024.03.18
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セミのなかには、毎年姿を現すものもあれば、一定の周期でしか姿を現さない「周期ゼミ」もいる。2024年の春は、米国の南東部から中西部で、周期ゼミの2つの大きな集団が同時発生する見込みだ。(PHOTOGRAPH BY REBECCA HALE, NAT GEO IMAGE COLLECTION)
セミのなかには、毎年姿を現すものもあれば、一定の周期でしか姿を現さない「周期ゼミ」もいる。2024年の春は、米国の南東部から中西部で、周期ゼミの2つの大きな集団が同時発生する見込みだ。(PHOTOGRAPH BY REBECCA HALE, NAT GEO IMAGE COLLECTION)
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 2024年の4月下旬から6月にかけて、米国の南東部から中西部で、200年の時を超えて大自然の交響曲が奏でられる。周期ゼミの2つの集団が221年ぶりに同時に姿を現しはじめるのだ。「今年はとても重要な年になるでしょう。神秘的で驚くべき出来事です」と、「虫博士」として知られる米ミズーリ大学のタマラ・リオール氏は言う。(参考記事:「17年ゼミの大発生始まる、動物たちの反応は?」

 221年ぶりなのは、2つの集団の周期がそれぞれ13年と17年だから。前回同時に姿を現したのは1803年のこと。米国大統領はトーマス・ジェファーソンで、江戸幕府の将軍は第11代の徳川家斉だった。

 リオール氏によると、次回起こるのは2245年になる。「私たちの5世代後になるまで、この2つの集団が同時に現れることはありません」(参考記事:「周期ゼミの大量発生、実は3種、鳴き声も違う」

 2つの集団が地上に現れたときの鳴き声は、100デシベルに達する可能性があるという。「ジェットエンジンと同じくらいのレベルです」と、リオール氏は言う。「今年は、とてつもなくうるさくなるかもしれません」

ホットスポットはどこか

 周期ゼミは、毎年目にするセミとは違って、13年または17年の周期で群れをなして発生する。ほとんどの種は、体が黒く、目が赤く、翅脈(羽の筋)は赤味がかったオレンジ色をしている。 (参考記事:「自然の驚異を楽しみたい、17年ごとに大量発生する米国の周期セミ」

 地理的にも違いがある。2024年に発生する周期ゼミは、「ブルードXIII(13)」と「ブルードXIX(19)」と呼ばれる集団だ。

 ブルードXIIIは、インディアナ州、アイオワ州、ウィスコンシン州、イリノイ州の一部を含む中西部で、17年ごとに発生する。

 ブルードXIXは、周期ゼミの中で地理的に最も広く分布する集団で、13年ごとに発生する。アイオワ州、イリノイ州、インディアナ州に加え、南東部のアラバマ州、アーカンソー州、ジョージア州、ケンタッキー州、ルイジアナ州、ミズーリ州、ミシシッピ州、ノースカロライナ州、オクラホマ州、サウスカロライナ州、テネシー州、バージニア州、メリーランド州で見られる。

 セミたちが現れたことを最初に認識できる兆候は、芝生や木の周辺、林などの地面にできた穴だと、米マサチューセッツ大学アマースト校の生態学者のゾーイ・ゲットマン・ピカリング氏は言う。

「暖かくなると、セミの幼虫がこうした穴から出てきます。とにかく驚くほど大量に出てくるはずです」とゲットマン・ピカリング氏。通常、セミの成虫は4週間から6週間しか生きられない。「彼らが交尾して死ぬまでの間に、信じられないほどうるさい鳴き声を耳にすることになるでしょう」

次ページ:セミ食を楽しむ人も、どんな味?

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