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ラーメン店で暴れた迷惑客を“私人逮捕”した店主が「悪質な私人逮捕系YouTuber」に憤るワケ

 昨今、世間を騒がしている「私人逮捕」。つい先日も、2名のYouTuberが不当拘束容疑で再逮捕されるなど、いまだ沈静化する気配はない。  この一件で私人逮捕という言葉を知った人もいるだろうが、実は今年2月に、千葉県のラーメン店で“私人逮捕劇”があったのをご存じだろうか?  そこで今回は、その舞台となった「麺処まるわ」の店主である庄野勇さん(40)に、当時発生した事件の一部始終、そして最近過激化していた私人逮捕系YouTuberについての話を伺った。

暴れた迷惑客を店主が私人逮捕

まるわ

千葉都市モノレール作草部駅から徒歩1分のところにある「麺処まるわ」。子連れの家族や女性客も多い地域密着の人気店

 2023年2月16日、庄野さんが経営するラーメン店に40代の男性が来店。注文したつけ麺を食べた直後、いきなり怒鳴り声を上げ暴れ始めたという。店内にいた他のお客さんや、一緒に働いていた奥さんと子供に危害が及ぶと感じた庄野さんは、私人逮捕に踏み切り警察へ通報した。 「最初は『ちょっと横柄な態度のお客さんが来たな』くらいにしか思っていませんでした。それで『濃厚煮干しつけ麺』をご注文されたのでお出ししたんですが、二口ほど食べたところで突如怒り出したんです。『なんで麺が冷たいんだ! こんな食い物が世の中にあるわけないだろう!!』って」
まるわ

男性が注文した「濃厚煮干しつけ麺(900円)」。ほどよい煮干し感と、つけ汁によく絡み合う細麺が絶妙にマッチしており、筆者は一気に完食してしまった

 お昼時のピークは過ぎていたものの、店内には8割ほどのお客さんがおり、女性客も数名いたという。そんな中、庄野さんは冷静に対応し、つけ麺という食べ物の説明をしたのだが、男性の怒りは収まらなかった。 「カウンター越しで説明していたのですが、椅子に座っていたそのお客さんが『お前らぶっ殺すぞ!』と叫んで立ち上がったんです。周りのお客さんも怯えていたので、ホール側に回ってなだめていたら、振り上げていた拳が僕の手を払いのけるようにゴツンって当たりまして。脅迫と暴行、両方揃っちゃったので『いま110番しますので、おまわりさんが来るまでの間、この場でアナタを拘束します』と言ってすぐに通報しました」

犯人は街では有名なトラブルメーカーだった

 その後、警察が来て男性は連行されたのだが、被害届を出すうえで調書を取る必要があり庄野さんも警察へ。その影響でそれ以降の営業はできなくなったという。となれば、損害賠償問題にも発展する話だが……。 「警察署でおまわりさんから聞いたのですが、その男性は週に1、2回しかバイトしていないフリーターで、ご高齢のご両親の年金で生活していたんです。だから、送検はするけど損害賠償は期待できないと言われました。だから、民事では一切請求していません。それよりも、報復の方が怖いので……。事件後に聞いた話なんですが、その男性、精神安定剤を服用しないといけない病気の方だったようです。お店には妻も子供も出ているし、夜は大学生のバイトの子もいるから、逆上して何か嫌がらせをされても困りますし……」  補償は期待できないと知り、損害賠償の請求はしなかったとのことだが、本人やご両親から謝罪の言葉はあったのだろうか? 「謝罪は一切ないです。その男性、いろんなところでトラブルを起こして、その都度ご両親が身元引受人として出頭しているらしく、今回も警察からご両親に連絡が行ったのですが『もう迎えに行きたくないから逮捕してくれ』と言っていたそうです。しかも、3週間後には別のお店でもトラブルを起こしていました。もう、ご両親でも手に負えない存在みたいですね」
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私人逮捕系YouTuberに対して思うこと
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