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「電気代が高すぎる家」には共通点が。一級建築士が伝えたい“業界でも一部しか知られていない”事実

こんにちは、一級建築士の八納啓創と申します。会社員の方から上場企業の経営者宅まで、住む人が幸せになる家をテーマにこれまで120件の家づくりの設計に携わってきました。 『日刊SPA!』では、これまでの経験を生かし、「これからの時代に必要な住まいの姿」をお伝えしていきます。 今回のテーマは「家計を蝕む光熱費に対して、賢く立ち振る舞う方法」についてです。
室外機

画像はイメージです

他の先進国に比べても日本の光熱費は…

電気料金

経済産業省「日本のエネルギー 2022年度版」をもとに作成

以前の記事でもお伝えした通り、昨今家計を悩ましているのが住宅の光熱費。実は、他の先進国に比べて、日本は光熱費が家計を圧迫する割合が高く、まさに“光熱費地獄”にはまっていると言っても過言ではありません。 他の国と何が大きく違うのか? その一つの要素として、「パッシブデザイン」を取り入れているかどうかが挙げられます。 例えば、最近の家は「箱」のようなデザインのものが多く、庇(ひさし)がついていない家も見かけます。そういった家に、「真南の壁に大開口の窓」がついていると想像してみてください。真夏であれば、その窓から太陽の光がさんさんと入ってきて家の中があっという間に温室状態になってしまいますよね。

利便性を追求した結果、「光熱費がかさむ家」が増加

ちなみに夏至の太陽高度は78.4度程度。窓の上すぐに1m程度の庇がついていれば、お昼時の太陽光をしっかり遮ることが可能です。そして冬になると太陽高度が下がってくるため、同じ場所に1mの庇があったとしてても、太陽光を呼び込むことが出来ます。 このように夏は太陽の光を遮り、冬は太陽の光を家に呼び込む手法が「パッシブデザイン」なのです。 昔の日本は、南側に大きな窓を取り、その外側に濡れ縁と庇を設けていました。まさに、これはパッシブデザインそのもので、理にかなった家づくりと言えるでしょう。 しかし現在では、利便性を追求するために、南側に向いた家ばかりではなくなりました。また、モダンなデザインとして流行った箱型の家には庇がないことが少なくありません。つまり、光熱費がかさむ家が圧倒的に増えてしまったのです。
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大手住宅メーカーが作り出す「エアコンなどに頼り切った家」
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