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山手線の内側は「2億円ないと普通の家が買えなくなる」。住宅ローンのプロが予言する「勝ち組物件」と「その他」に分かれる未来

塩澤崇日本銀行が「マイナス金利政策」を解除し、今後は家を購入する際の住宅ローン金利にも影響が見込まれる。いったい、どうするべきか……。 20万人が利用する住宅ローンの比較診断サービス「モゲチェック」。その立ち上げメンバーにして取締役COOであるのが、モゲ澤こと塩澤崇氏だ。モルガン・スタンレー証券やボストン・コンサルティング・グループでの経験に基づくわかりやすい解説に定評があり、住宅ローンアナリストとしての知見を活かし、さまざまなメディアへの出演も多くこなしている。 そんな塩澤氏は「住宅ローンは受験勉強と同じ。準備をして本番に挑む必要がある」と語る。金利や物件価格が上昇する中で、賢くお得に家を買うヒントを塩澤氏直々に伝授してもらった。 今回は、「山手線の内側では、ほとんどの人が普通の家を買えなくなる」という状況下で、どのように折り合いをつけて生きればいいのか。流行りの副業やペアローンのあまり知られていない注意点も暴露する。(記事は全3回の3回目) ※有料会員の方は目次をクリックすると、該当の箇所にジャンプできます。

山手線の内側は「2億円ないと普通の家が買えなくなる」

東京風景

※写真はイメージです。以下同(Photo by AdobeStock)

物件の価格は、上がるでしょうね。特に下がる理由はないし、最大の原因はインフレです。 インフレとは、物価が上がること。昔の1円よりも今の1円の価値は弱くなっているため、同じものを買うためにはより多くの日本円が必要です。この傾向は今後も緩やかに続くと思われます。そのため、基本的に不動産価格も上昇傾向にあるはずです。 ただし、上昇する場所は限られていて、山手線の内側だけです。 「港区、中央区、千代田区、渋谷区の一部」など人気のエリアでは“1億円でも普通の家しか買えない”という状況が続いていますが、1年後に2億円を越えても驚きません。反対に山手線の外や郊外では現状維持、地方に至ってはむしろ下がっていくでしょう。人口が減少しますので、こればっかりはどうしようもないです。 こうして価格の差が広がり、山手線の内側を買える「勝ち組」と、山手線の外側、郊外、地方しか買えない「その他」の差がますますはっきりしてきます。 この差が生まれる要因は、住宅ローンも関係してきます。 安定した収入がある人は、低い金利で住宅ローンを組み、多くの金額を借りて「勝ち組物件」を購入することができます。物件価格が上昇することで家の資産価値が上がり、さらなる勝ち組への階段を駆けあがっていけるのです。 一方で住宅ローンを組むことができても、「勝ち組物件」のように資産価値が上がる家を買えない人も数多くいます。郊外や地方では、土地の価格は下がり、家は古くなった分、価値が下落する可能性があります。 そもそも、年収が低くて住宅ローンを組むことができない人もいるでしょう。その場合、賃貸物件に住み続け、家賃という掛け捨てコストを支払い続けなければなりません。資産形成ができず、賃貸を続けているうちに物件の価格はどんどん上がり、手が届かなくなります。 このような状況は一刻も早く脱するべきです。転職や副業で収入を増やし、住宅ローンを1日でも早く借りられる状態にしてください。
東京大学大学院修了後、モルガン・スタンレー証券で住宅ローン証券化を推進。その後、ボストン・コンサルティング・グループで金融機関向け戦略コンサルティングを手掛け、現在は20万人が使う住宅ローン比較診断サービス「モゲチェック」を運営。年間100本以上のTVや新聞取材を受け、住宅ローンアナリストとして情報発信中。「モゲ澤」の愛称も。著書に『金利が上がっても、 住宅ローンは「変動」で借りなさい』(ダイヤモンド社)がある。Xは@takashishiozawa、YouTubeは@mogecheck-shiozawa

金利が上がっても、 住宅ローンは「変動」で借りなさい

日本最大級の住宅ローン比較サービス「モゲチェック」を運営する著者だから書けた、住宅ローン本の決定版!新時代に対応した最新金融リテラシーが詰まった1冊