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「変なヤツが来た」LGBTQの家探しに待ち受ける困難。“偏見”のある不動産屋も

女性同士

※写真はイメージです(Photo by Adobe Stock)

家の購入は金銭面の問題をはじめ、誰にとっても大変なものだ。しかし当事者がLGBTQである場合、そのハードルはさらに高くなる。セクシュアリティを理由に売買を断られてしまうこともあり、「不動産会社の担当者に偏見を持たれないか」などの不安もつきまとう。 最近では「LGBTQフレンドリー」をうたう不動産屋も増えてきたが、実態はどうなのか。とあるレズビアンの女性は、家を買うために相談に行った不動産屋で気まずい思いをしたという。 (記事は全3回の1回目)

レズビアン女性が痛感した「理解のなさ」

ユーキハル

YouTuberのユーキハルさん(X:@yuki_hal_)

家を購入するにあたって、LGBTQの当事者たちにはどんな苦労があるのだろうか。「まず、理解のある不動産屋と出会うまでに一苦労あります」と語るのは、レズビアンでYouTuberのユーキハルさん。過去に2回マンションを購入した経験を持つ女性だ。 「最初は当時のパートナーと住むために2人でマンションを探し、彼女の名義で単身者ローンを組んで購入しました。いざ入居! ってときに相手の不貞が発覚して破局したんですが(笑)。次は自分自身の名義で買って、今のパートナーと出会ってからはふたりで住んでいます」  一度目の購入の際、当時のパートナーと一緒に不動産屋を訪れるも、“ただの同居人”だと思われて話を進められたことがあったという。 「“同性カップルかもしれない”という考えが担当者になく、あまりヒアリングさえもしてくれなかったんです。買うのは元カノで、私はルームシェアの相手でしょって雰囲気で。だから内見当日も、『彼女と一緒に寝たいから、この部屋は寝室にしたい』といった“恋人同士で住む前提の希望”をあまり言えなくて」 ふたりの関係性について踏み込んでほしいかは人それぞれだ。だからこそ「不動産側の意識の持ち方は大事」だとユーキハルさんは話す。 「女性の二人客を見て、“この人たちって、ルームシェアかな”と思うのと、“もしかしたら同性パートナーかもしれない”と思って対応するのでは、客側に提示できる選択肢の数がぜんぜん違うと思うんですよね。その考え方を持っていないことが目に見えて分かる時点で、客としては信用できなくなってしまう。担当者にカミングアウトできず、聞かれても簡単には答えられない人もいます。だから店側がちゃんと“そうかもしれない”という前提を持った上で話してくれるといいなと思うんですが……」

「LGBTQフレンドリー」が形骸化している不動産屋も…

會田雄一

「株式会社家や不動産」代表取締役の會田雄一さん

LGBTQが抱える問題を、巷の「LGBTQフレンドリー」な不動産屋はどう解決しているのか。LGBTQに対して親身になって相談に乗るという不動産屋は全国各地に数多く存在しているが、都内に本店を置く「株式会社家や不動産」代表取締役の會田雄一さんに業界の事情を尋ねたところ、衝撃の事実を教えてくれた。 「LGBTQフレンドリーと言いながら、実態は真逆な不動産がとても多いです。LGBTQのお客様を好奇の目で見たり、男性のお客様に『男が好きなんですか?』と興味本位な質問をしたり。当社もマイノリティの方々の住宅相談を行っているので、『他の不動産屋でこういう対応をされたんですが、そちらは大丈夫ですか?』といったお問合せが多々あります」 他店から流れてきた顧客たちの訴えで多いのは、「バックヤードで『変なヤツが来た』と話しているのが聞こえてきた」というものだ。
福岡県出身。フリーライター。龍谷大学大学院修了。キャバ嬢・ホステスとして11年勤務。コスプレやポールダンスなど、サブカル・アングラ文化にも精通。X(旧Twitter):@0ElectricSheep0