見た目は子ども、実は経験豊富!? 「生みの親」に会ってみた【ミーキャップ取材班】
ミーキャップです! 学生のミカタのキャラクターをやらせてもらっています。今回は特別編。ミーキャップの「生みの親」をご紹介します!
〈吹き込んだ命には、きっと自分さえも気づいていない可能性がある〉
青い頭巾につぶらな瞳。小首をかしげてこちらを見つめる様子は、かわいいけれど、どこかミステリアスでもある。西日本新聞meに登場する「ミーキャップ」は、福岡市在住のイラストレーター本田ひなたさん(26)が生み出した。
物心ついた時から、絵を描くことが好きだった。幼稚園の卒園アルバムに寄せた将来の夢は「えかきやさん」。小学生の時は漫画のキャラクターの模写に明け暮れ、中学生になると雑誌を見ながら歌手の姿を写実的に描いた。
「漫画のキャラは人をシンプルに表現したもの。描くうちに体の構造も学んだのだと思う。今も人物をよく描くけれど、ラインをはっきりさせることが多い」。輪郭線には青を好んで使う。凜(りん)とした意志を感じさせる作品の女性たちは、どれも本人に似た雰囲気がある。
独学ながら、21歳の頃には描くことが仕事になった。最初は知人からの依頼でチラシやイベントのTシャツをデザインした。今はSNSからも仕事が舞い込む。作品を公開しているインスタグラムは、かつて海外で過ごした経験もあって、約1万4000人いるフォロワーのほとんどが外国人だ。
イラストは、デジタルからアナログへと自身のトレンドが移ってきた。それだけでなく、グラフィックデザインやアニメーションも手がける。
「自分のように企業に属さないフリーの人は、営業力やネゴシエーション力が大事だと思う。結局、出会いと人とのつながりが一番大切」
ミーキャップの誕生も、人との縁が導いた。西日本新聞meでコンペを実施していると知人に勧められ、初めてのキャラクターデザインに挑戦した。
meのロゴに使われている青い吹き出しを何度もスケッチするうちに、形が頭巾のようだとひらめいた。新聞社らしさと福岡っぽさを詰め込もうと、取材七つ道具が入っているという想定のかばんを持たせ、口をめんたいこにした。2頭身のフォルムと子どものような顔立ちは、当時3歳のめいの姿を無意識に取り入れたと感じている。
「動物でも人でもなく、性別も年齢もないので、妖精か宇宙人みたいなものに近いですかね。福岡はおいしい食べ物が多いので、居ついてしまったのかも」
ネーミングに悩んでいたところに助け舟を出したのは母。新聞社には「キャップ」という記者のリーダーがいると調べてきて、meのキャップで「ミーキャップ」となった。
「子どもみたいな見た目だけど、キャップなので意外と経験を積んでいるのかもしれない」
コンペでは見事に1位の票を獲得した。ミーキャップは現在、学生たちが企画・発信するコーナー「学生のミカタ」を“担当”している。留学生活やイベント、就職活動など身近な話題を記事にする学生たちは「ミーキャップ取材班」。そのリーダーとしてミーキャップは記事にも登場する。
学生向けのLINEアカウント「学生のミカタ[福岡県]」もスタートした。ミーキャップのスタンプも販売予定で、喜んだり怒ったりする姿を何パターンも描き下ろした。
次の目標は、ミーキャップをアニメーションにして動かすこと。のんびりしているように見えて、意外とキビキビと踊れるのかもしれない。ミュージシャンなど、自分とは違うジャンルのアーティストとコラボしてみるのもいい。
「いつか、くまモンやふなっしーのように愛される福岡のご当地キャラになったら」。成長していく姿を思い描き、ワクワクが止まらない。