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「引退はまだ…」24歳の〝妖精〟杉原愛子の冒険は終わらない 3度目五輪逃しても補欠でパリ帯同、若手支える【体操NHK杯】

 ◆体操 NHK杯(18日、群馬・高崎アリーナ)
 7月に開幕するパリ五輪の代表最終選考会を兼ねて女子の個人総合2回目が行われ、5位でスタートした杉原愛子(TRyAS)は210・359点で5位となり、3大会連続出場はならなかった。「パリ五輪を目指してやってきた。代表になれなかったことはめっちゃ悔しいです…」と大粒の涙がほおを伝った。

 五輪圏内の4位以内への浮上を目指した杉原に再びの「悪夢」が襲った。2種目目の段違い平行棒において移動技で落下してしまい、しばしマットの上でぼうぜんとなった。最後までこのミスが響いた。16日の個人総合1回目でも段違い平行棒で落下していた。「個人総合は少し難しいのかなとの思いがよぎった」。現実を受け止めて、ラスト2種目へ切り替えた。

 平均台は13・666点として全体2位、得意の床運動では手拍子を客席に求めるなどして大きく盛り上げて13・366点をマークして同1位に。「このNHK杯という舞台を、自分もみんなにも楽しんでもらいたい気持ちで臨んだ」。最後まで笑顔で演じきった。

1年のブランクをものともせず

 元々苦手とする種目だが「やはり詰めが甘かったのかな…。全日本まではすごく自信を持ってやれていたけど、脚をぶつけたりして自信がなくなってしまったことがあった。気持ちを切り替えてやっていたけど、そういう弱い気持ちに、自分に負けてしまったんだなって」と悔いは残る。

床運動の演技をする杉原愛子(撮影・中村太一)

 21年の東京五輪後に第一線から退いた。指導者や審判のほか、テレビではリポーターとして客観的に体操を見つめた。競技の普及促進のためにSNSで積極的に発信するなど精力的に活動する傍ら、競技者としての闘志も復活。昨年から本格的に復帰した。実力者は1年のブランクをものともせず選考レースの中で大きな存在感を示した。

 杉原は「選手から1度離れてみて、やはり自分は体操が大好きだと。パリ五輪を目指して頑張って結果としては代表選手になれなかったが、こうやってたくさんの人に支えられて感謝しかない。1年選手を休んでも競技復帰できるということを皆さんにお伝えできたし発信もできた。この舞台で代表選手と戦えたことを誇りに思う」と〝異例〟の挑戦を振り返った。

【次ページに続く】「自分の役割を」

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山田 孝人

山田 孝人

記者

1981年8月8日生まれ。高知県出身。 2013年から15年まで西武ライオンズを担当。プロ野球遊軍を経て、18年から21年まではソフトバンクホークス。22年は7年ぶりに西武に復帰。過去に高知県でキャンプをしていた両球団に関わることができ、勝手に縁を感じている41歳。 4月からはアマチュアスポーツを中心に担当。趣味はサウナ。172センチ、84キロ。  

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