今夏のパリ五輪代表に決まっているアーチェリー女子日本代表の野田紗月(ミキハウス)=北九州市出身=がメダル候補として最高峰の舞台に挑む。昨年8月の世界選手権女子リカーブ個人で日本勢初の銅メダルを獲得。全競技での九州勢としてパリ内定1号を射止めた。日本女子のエースに成長しつつある24歳のホープは、開幕までの残された時間でさらなる成長を目指す。
170センチの長身から放たれる力強い矢が野田の持ち味だ。風などにも負けず、正確な技術で的の中心を捉えていく。初出場のパリ五輪に向けて、野田は「挑戦者として挑んでいく」と闘志をにじませた。
競技を始めたのは福岡・折尾高1年から。中学ではソフトテニス部に所属していたが、高校入学時の部員勧誘のデモンストレーションでアーチェリー部が行った風船割りを見た。「かっこいい」と心を奪われ、ラケットを洋弓に持ち替えた。
「ここ一番の勝負強さが足りない」
バスケットボール部に勧誘されたこともあるほどの恵まれた体格で、男子選手に負けない弓を引く強さを誇る。野田の豊かな素質は、名門の近大を率いる山田秀明監督もほれ込んだ。「五輪を狙える逸材」と認められ進学した。
大学4年時には全日本選手権を制し、社会人1年目だった昨年の同選手権でも連覇した。世界選手権でも銅メダルに輝くなど、結果を積み上げて日本トップクラスの実力を身に付けたが「ここ一番の勝負強さが足りない。今後の世界大会で手にしていきたい」と現状に満足していない。
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