鎮西山城跡で出土した玳玻天目茶碗の内面

町職員(奥)から玳玻天目茶碗に関する説明を受ける来場者=上峰町ふるさと学館

 上峰町の鎮西山城跡から佐賀県内で初めて出土した玳玻天目茶碗(たいひてんもくちゃわん)が、同町のふるさと学館で一般公開されている。12~13世紀に中国江西省で生産された陶磁で、出土は九州で2例目。2月22日まで展示している。

 町文化課によると、茶碗は直径10・5センチ(推定)、高さ5・5センチで、残存状況は全体の4割程度。釉薬がウミガメの甲羅のような模様が特徴で、中国江西省の吉州窯(きっしゅうよう)で生産された黒釉陶磁とみられる。国内での出土事例が少なく、博多遺跡群(福岡県)や平安京(京都府)など4カ所のみ。政治や経済の中心地に限られており、鎮西山にどんな人物がいたのかを知る手がかりとなるという。

 今回の公開では、これまでの調査で見つかった12~13世紀代の中国産白磁・青磁、国産の土師(はじ)器のほか、関連書籍なども展示している。吉野ヶ里町の鶴田龍義さん(84)は「建築の仕事で茶室を造る機会があり陶器についても学んだが、近くで天目茶碗が見つかるとは思いもよらなかった。どんな人物がいたのだろう」と想像を膨らませた。

 町文化課の松浦智係長は「県内での出土例は初めてで、なかなか目にすることができない。鎮西山では城址(じょうし)公園の整備が計画されており、これを機に多くの人に鎮西山の魅力を知ってほしい」と来場を呼びかけている。(井手一希)