最後の公開となる石棺墓を訪れた見学者。職員の説明に聞き入った=神埼市郡の吉野ケ里遺跡

3枚をつなぎ合わせた形で初めて展示された石棺墓の石ぶたに見入る見学者ら=神埼市郡の吉野ケ里遺跡

 国指定特別史跡・吉野ケ里遺跡(神埼市郡)の北墳丘墓西側にある「謎のエリア」で見つかった「石棺墓(せっかんぼ)」の特別公開が3日、始まった。石棺墓は保存のため今後埋め戻される。全貌を見学できる最後の機会とあって、県内外から考古学ファンや観光客ら1742人が訪れた。6日まで。

 来場者は小高い丘にある石棺墓を訪れ、調査員から発掘の経緯や「弥生後期の有力者の墓とみられる」といった説明に耳を傾けた。最後の公開とあって、写真に収める姿も見られた。

 「×」印などが刻まれた石ぶたは、今回初めて3枚をつなぎ合わせた形で展示された。太良町の多良岳から運んだ玄武岩が使われたとの解説に、見学者は「船で運んだのか」と確認し、表面の赤い顔料に「どんな顔料を使っているのか」と質問していた。

 石ぶたの重量当てクイズや、出土した土器を洗う体験イベントも実施されている。最後の公開と聞いて再訪した神埼市の佐々木義明さん(60)は「今後も科学の力でさまざまなことが解明されていくのを期待している。地元がにぎわうのはうれしい」と話した。

 特別公開終了後は、5月末までの発掘調査の実施日に現場を見学できるが、石棺墓は見ることができない。(古賀真理子)