「力ある人で依頼断れず」 殺人容疑で再逮捕の指示役が供述 那須・夫婦焼損遺体事件

事件の構図

 那須町伊王野の河川敷で4月中旬に夫婦の焼損遺体が見つかった事件で、県警と警視庁の合同捜査本部は19日、殺人の疑いで、住所不定、職業不詳の男(28)を再逮捕した。男は指示役とみられ、夫婦の長女の内縁の夫で東京都世田谷区、会社役員の男(32)から殺害と遺体の処理を依頼され、仲介役に指示したとされる。調べに対し「(主導役とみられる男が東京の)上野で力のある人なので、上野で仕事をしていく上で断れなかった」と供述しているという。

 捜査本部はこれまでに死体損壊容疑で指示役とみられる男を含む6人を逮捕。殺人容疑での立件は仲介役とみられる埼玉県越谷市、建設業の男(25)に続き2人目で、他の容疑者についても同容疑での立件を視野に調べている。

 再逮捕容疑は他の容疑者や氏名不詳者らと共謀し、4月15日午後11時50分ごろから翌16日午前1時半ごろまでの間、東京都品川区東五反田4丁目、空き家1階のガレージ内で、同千代田区、会社役員男性=当時(55)=と妻の会社役員女性=同(56)=の首を絞めるなどして殺害した疑い。捜査本部は認否を明らかにしていない。

 捜査本部によると、指示役とみられる男は4月上旬、事件の主導役とみられる男から数百万円の報酬で遺体の処理を依頼され、その数日後に殺害も頼まれた。報酬は1500万円に上乗せされたとされる。犯行の直前には殺害場所として、主導役とみられる男の知人で千葉県船橋市、会社役員の男(36)の会社が管理する空き家ガレージを指定され、犯行の指示は仲介役とみられる男から実行役の男2人に伝えられた。

 指示役とみられる男は事件の数カ月前に福岡から上京。上野周辺で飲食店の呼び込みとして働く中で主導役とされる男と知り合ったという。

 また捜査関係者によると、主導役とされる男が3月下旬ごろ、指示役とみられる男とは別の人物に「消してほしい人がいる」と持ちかけ、断られていたことも判明。その後、指示役とみられる男に殺害の依頼が回ったとみられる。

 

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