【登坂淳一】夫婦連携プレーの子育て。娘とお出かけして初めて知ったパパ育児の不便さ
50才でパパとなったフリーアナウンサーの登坂淳一さん。ブログ「白髪のパパ」では日々の子育ての様子を発信しています。2カ月になる(取材当時)娘さんとの生活について話を聞きました。
何をするにも娘ファーストに
――2021年4月27日に計画無痛分娩にて第一子の女の子が誕生。登坂さんは6月に50才を迎えましたが、娘さんが生まれて考え方や価値観などの変化はありましたか?
登坂さん(以下敬称略) 価値観の大きな変化はないですが、すべてを子ども中心に考えて、自分のことは後回しになりました。何をするにも娘ファーストです。以前好きだったシリーズもののドラマも今は見ないですし、仕事に必要なテレビ番組は録画して、娘のお世話の合間に1.5倍速で見ています。
――娘さんのお名前にはどんな思いを込められましたか?
登坂 娘の名前は僕がつけました。妻に「私は産めるけど、あなたは産めないから名前は決めていいよ」と言われたんです。名づけがパパとしての最初の仕事でしたね。女の子とわかっていたので、妊娠22〜23週くらいには決めて、妻のおなかに向かってその名前で呼びかけていました。
名前を決めるとき、いちばん意識したのは音の響きです。ファーストネームは子どもにとって、この先ずっと自分を表す固有名詞になりますし、親の僕たちも何度も口にするものなので、何回呼んでも、聞いても、愛着を持てて耳に残る響きがいいな、と。
――2カ月の娘さんとの生活はいかがですか?
登坂 娘はよく寝てくれる子で、夜中に起きるのは一度あるかないかなので、とても助かっています。最近、ご機嫌だと「あ〜」「う〜」と軽やかに音を発するようになってきました。
――娘さんとの時間でいちばん幸せを感じるのはどんなときですか?
登坂 寝顔を見ているときですね。スワドル(おくるみ)で巻いてベッドに寝ている姿はなんとも言えずかわいらしいです。あとは抱っこしてあやしていると、彼女がじっとこちらを見ているときに、幸せを感じます。
育児は楽しい!夫婦連携プレーの子育て
――お世話はどのように分担しているんでしょうか?
登坂 はっきりと担当を決めているわけじゃないです。朝目が覚めて、泣いていたら、紙おむつをどっちかが替えて、手があいているほうがミルクを作って、と連携プレーでやっています。母乳があまり出なかったのでミルクに切り替えたんですが、一緒にやっているおかげで、僕も娘の成長に合わせたミルクの量がわかるようになりました。何時にあげたかの回数も育児ノートに記録しています。
――とても理想的なパパですね!赤ちゃんのお世話をどうしたらいいかわからないパパも少なくないと思いますが、そんなふうに登坂さんが自然にできることがすごいと思います。
登坂 え、そうなんですか?(笑)育児、楽しくないですか?赤ちゃんの毎日のちょっとした変化を観察するのも面白いですよね。紙おむつを替えるときにうんちを見て健康状態を見るとか、なんで赤ちゃんの足はこんなにもちもちしてるのかな、とか好奇心でお世話している面もあります。
――赤ちゃんのお世話は大変ではないですか?
登坂 かわいいし楽しいけれど、本当に重労働というか…こんなに全身を使うとは思いませんでした。お世話するとき無意識に余計な力が入ってしまうんでしょうね。びっくりするくらい体のあちこちが痛いです(笑)。肩は凝るわ、腰は痛いわ、足は痛いわで…最初の1カ月は毎週のようにマッサージに行っていました。
――なかなか体力がいりますよね。では、得意なお世話はなんですか?苦手なお世話も教えてください。
登坂 娘の機嫌が悪いときにあやすのは得意ですよ。有名な曲のメロディーに、「〇〇ちゃんはいい子だね」「もうねんねだよ」なんて適当にリズムに乗せて歌ってあやしています。気がつくと1時間半ぐらいたっていることもあります。
苦手なのはおふろですね。今一緒に入っていますが首すわりがまだなので、急にビクッと動かれるとすべってしまいそうになりますよね。「早く首がすわってくれ〜!」と思いながら苦戦しています。
娘とお出かけして初めて知った不便さ
――登坂さんのようにパパの育児参加も広まっていますが、まだ授乳室や紙おむつ交換台などの設備が追いついていない面もあります。お出かけしたとき男性目線で気になることなどはありますか?
登坂 そうですね…男性用個室トイレの紙おむつ交換台を利用したとき、ベビーカーで入ると扉が閉められないし、紙おむつ交換台も出せなかったんです。「ベビーカーは外に置いて大丈夫なのかな?」「抱っこじゃないと入れないのかな?」と、実際に使ってみて初めてわかる不便さがありました。使う人をきちんと想定して設計されていないんじゃないかと思ったこともあります。
授乳室にパパが入れないこともあったりしますよね。設備を用意するだけではなくて、利用者のことを考えて作ってもらえたらいいなと感じます。
――これから大きくなる娘さんに、親としてどんなことをしてあげたいと考えているか教えてください。
登坂 これだけモノや情報があふれている中で、僕ができることは、大事なことを見極めて選び、自立できるような教育を与えてあげることかなと思います。知力だけではなくて、生きる力をどれだけつけてあげられるか。百聞は一見にしかずで、たとえば旅行に行って、きれいな海や、山の自然や、そういった本当のものに触れさせてあげることを大事にしたいと思っています。娘とこれから過ごせるのはちょっとほかのパパよりも短い時間なのかもしれない。けれど、自分の経験も含めて、できる限りのことを教えてあげたいです。
お話・写真提供/登坂淳一さん 取材・文/早川奈緒子、ひよこクラブ編集部
「予防接種などのために仕事のスケジュールも調整してもらっている」という登坂さん。夫婦の連携プレーでお世話をし、喜びもつらさも夫婦で分け合いながら、娘さんとの貴重な時間を楽しんでいます。
登坂淳一さん(とさかじゅんいち)
Profile
1971年生まれ、東京都出身。1997年NHK入局、初任地は和歌山放送局。
その後、2003年からは東京アナウンス室へ異動し「おはよう日本」などを担当。35歳で白髪染めを中止し話題になる。2018年にNHKを退社し、現在はフリーとして活動し、オフィシャルブログ『白髪のパパ』で子育ての様子を発信している。