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MLB

日本時代とはまるで別人? 元西武のギャレットが多彩な変化球を駆使するモデルチェンジを経てメジャーの舞台で躍動〈SLUGGER〉

藤原彬

2024.04.20

気合満点の姿勢は日本時代と変わらず。31歳の右腕は自己最高のシーズンを送っている。(C)Getty Images

気合満点の姿勢は日本時代と変わらず。31歳の右腕は自己最高のシーズンを送っている。(C)Getty Images

 元西武のリード・ギャレット(メッツ)が意外な快投を続けている。4月4日の今季初登板で3イニングを救援してチームの開幕連敗を5でストップさせると、まだ4試合に投げただけとはいえ無失点。驚くべきは8.2投球回で31打者と対戦し、17もの三振を量産している点だ。

【動画】スライダー、スプリット、スイーパー...ギャレットが多彩な変化球を駆使して2イニング6奪三振!


 20年から日本で2シーズン投げ、最速162キロの速球で打者をねじ伏せる姿を覚えているファンも多いはず。だが、現在のマウンドさばきに、かつての助っ人セットアッパーを見出すのは難しいかもしれない。なぜなら、かつては投球の軸だった4シームが、今では見せ球に過ぎないからだ。

 来日前の4シームの投球割合は6割を超え、30歳になった昨季はキャリア最速の平均球速96.3マイルを記録していた。それでもメジャーに復帰した22年から2年続けて防御率6点台と打ち込まれ、昨年6月のトレードでブルペンが弱点のメッツへ移ってもメジャーに定着できず。マイナーでも目ぼしい成績を残せず、ギャレットは崖っぷちに追い詰められていた。

 そこで、昨季の終盤からシンカーを習得。さらにトラックマンのデータを見直し、カーブの代わりにスイーパーを多投するようになた。スライダー、スプリッターも織り交ぜる多彩な投球にモデルチェンジしたことが、今季の快投につながっている。
「自分が何者で、どんなピッチャーかを示す必要があった」と自己改革に取り組んだ結果、今季はリーグ平均の約倍に相当する空振り/スウィング率48.3%を記録している。9イニングあたりの奪三振率は17.65に達し、これは昨季までのメジャー通算(6.50)を大きく上回る。「別人に生まれ変わった」という表現が決して誇張ではない変貌ぶりだ。

 実は、NPB時代も当初は結果を残せずに苦しんでいた。バージニア陸軍士官学校出身で旅には慣れているとはいえ、家族と離れた異国での生活にメンタルもひどく落ち込み、一時は引退も考えたことさえあったという。

 そんな逆境続きのキャリアを歩んできた右腕が、今季は暗く沈んでいたメッツに灯火を灯した。ギャレットの好投も追い風にしてチームは盛り返し、現在は貯金生活に入っている。とはいえ、昨夏のトレードでビッグネームを売り払い、千賀滉大も戦線離脱中の先発陣には長いイニングをまかなえる存在がいない。投げる度にチームへ活力を注入するギャレットの活躍に、今後も期待が集まる。

文●藤原彬

著者プロフィール
ふじわら・あきら/1984年生まれ。『SLUGGER』編集部に2014年から3年在籍し、現在はユーティリティとして編集・執筆・校正に携わる。X(旧ツイッター)IDは@Struggler_AKIRA。

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