中古車販売大手の「ビッグモーター」を買収していた伊藤忠商事は1日、ビッグモーターの事業を継承した新会社「ウィーカーズ(WECARS)」を設立したと発表した。

 ビッグモーターは自動車保険金の水増し請求問題が発覚したことで、創業者の兼重宏行氏が社長を退任。街路樹問題も浮上し、一気に客離れが起き、そこに伊藤忠が支援の手を差し伸べていた。

 伊藤忠はこの日、公式サイトでウィーカーズ設立のリリースを発表。「『WE』という言葉には、クルマに関わるお客様や私どものことだけでなく、クルマとともに生きるすべての方々を含んでおります。『WE(私たち)』のつながりで、ひとりひとりの、いろんなクルマの未来づくりに貢献していきたい。さらに、中古車のよりよい未来と、よりよい世界をつくることにも貢献していきたい。そのような大きな志をこの社名に込めました」と社名の理由を説明した。

 問題が多発したビッグモーター時代を反省し、ガバナンス体制とコンプライアンスを重要視すると宣言し、「過去との決別」として創業家と縁を切るとしている。新しい社長には伊藤忠商事の元執行役員だった田中慎二郎氏が就任した。

 元ビッグモーター幹部で「バディカ」社長の中野優作氏は「X」(旧ツイッター)で「市場の反応が冷たいのは仕方のない事ですが、良い方に変わろうとしているのは事実ですし、変わらなければ市場に淘汰されるだけです」と歓迎していた。

 もっとも、SNSでは「名前変えても社員同じなら意味ない」「社員も入れ替えるなら風土変わりそうだけど」と冷ややかな意見が多い。あるジャーナリストは「再建して利益を上げられると伊藤忠は判断したのでしょう。信頼回復がポイントです」と指摘。

 負のイメージを払拭するには時間がかかりそうだ。