特訓風景を独占キャッチだ。格闘技イベント「RIZIN.13」(30日、さいたまスーパーアリーナ)で総合格闘技(MMA)デビューする大相撲の元幕内大砂嵐(26=エジプト)の対戦相手が“野獣”ボブ・サップ(44=米国)に正式決定した。注目の決戦へ向けて大砂嵐は米シアトルのジョシュ・バーネット(40)のもとで、一方のサップはタイの秘密施設で練習を積んでいることが判明。ともに対策はバッチリのようだが、軍配はどちらに上がるのか?

 RIZINの榊原信行実行委員長(54)は11日、本紙の取材に「正式決定です。大砂嵐とサップが30日、MMAルールで対戦します」と明らかにした。同カードは大砂嵐から強い希望があってのもの。本紙既報通り、今夏病床にある元横綱曙(49)を訪れた際に、曙が2度(2003年と15年の大みそか)敗れたサップへの敵討ちを決意。RIZINもその気持ちをくみ取って交渉を続けてきた。

 サップ戦決定の報はすぐに大砂嵐にも伝えられたが、すでに対戦を見据えて師匠のバーネットと新格闘術「スモー・キャッチ・レスリング」の確立に励んできた。

「ジョシュ・バーネット先生の内弟子として死に物狂いで練習してきた。そして先生と一緒に新しいMMAスタイルを開発した。9月場所(RIZIN.13)で、世界で初めてお披露目する。サップはその実験台だ。スモー・キャッチ・レスリングのサンドバッグになるだろう」(大砂嵐)

 対戦が決まり、闘志も十分。自信の表れなのか、新技公開にも踏み切った。「先生が徹夜で開発し、完成に近づいている技の中からいくつか紹介しよう。まずはスモー・バックブリーカーだ。これは相手の背骨を確実に折る危険な技。そして四股パウンドだ。この技が決まればサップの顔面は確実に破壊され、二度としゃべることはできなくなるだろう。ヤツのビッグマウスもここまでだ」

 対する野獣サップも負けていない。タイは大一番が決まると必ず訪れる特別な場所で、格闘技戦で最後の勝利を挙げた15年の曙戦もこの地で最終調整した。

 現在は元力士との対戦へ向けて「スモートレーニング」を導入。「相手を知ることが大切」と積み上げたタイヤに張り手や体当たりを繰り返してきた。相撲独特の立ち合いの破壊力を警戒し、ヒザで迎撃するトレーニングも重ねる。さらに高タンパクで栄養価に優れる昆虫食で肉体改造にも着手。昆虫をモリモリ食べながら“野獣節”を炸裂させた。

「“スモーキラー”のオレ様に戦いを挑むなんて無謀だってことを分からせてやる。このタイヤのように、お前の硬いボディーもパンクさせてやるから覚悟しておくといい。お前なんて俺様にとっては虫けら同然、いやそれ以下。叩き潰して、こいつらのように食ってやる。ワーッハッハ!」

 曙の思いを背負った大砂嵐が白星デビューするか、サップが打ち砕くのか。「テレビではとても放送できない残酷ショーになるだろう」と大砂嵐が予言する通り、危険な異次元マッチになりそうだ。