ソフトバンクのロベルト・オスナ投手(29)が意気揚々と調整を進めている。宮崎春季キャンプでは25日まで2日連続でブルペン入り。昨年まで一軍打撃コーチを務め、今季から動作解析を担う長谷川R&D担当を打者役に本番モードで投げ込むなど、絶対守護神の貫禄が漂った。

 調整を一任されており、強い責任感をにじませる。「ケガをしないこと、勝利に貢献するために何ができるかを考え、自分の状態を上げていくことを考えている」。かつてMLBでセーブ王のタイトルを獲得した右腕に懸案材料は見当たらない。今後の調整について「小久保さんと倉野さんが言ってくれたところで投げる。2人をすごく信頼しているので、彼らが投げてほしいところで投げる」と即答。オフに球団と4年総額50億円超(推定)という規格外の契約を結び、文字通り気力に満ちている。

 紆余曲折を経て、キャリア全盛期を日本球界で迎える世界最高峰のクローザー。百戦錬磨とはいえ、母国はメキシコで住み慣れた米国から遠く離れた日本で長いシーズンを過ごす上で心の安定は不可欠だ。

 そこで加入2年目の今季から、オスナには心強い援軍が加わった。一昨年、ロッテ在籍時代に信頼関係を築いたスペイン語の田原大樹通訳が移籍。「ようやく一緒に仕事ができる。球団に頼んでいたんだ。(ソフトバンク入りを)決断してくれて、家族もその判断を認めてくれて、一緒にいられてうれしいよ」。相棒とのコンビ再結成を喜ぶ声は自然と弾んだ。

 最強守護神の〝トリセツ〟を知る希少な存在である田原通訳は「僕は彼が世界一のクローザーだとか、特別な人間だとか、実はあまり思ったことがないんですよ。大切なことは気を使い過ぎないこと。面と向かって話をすること。誰々がこう言っていたよ、ああ言ってたよ、みたいな話は絶対にしない」とシンプルに心得を語る。オスナと周囲の相互理解がこれまで以上に進めば、チームにとって大きなプラスといえる。

 山川やウォーカーだけではない、見逃せない〝戦力補強〟。超一流ゆえに独特の思考を持つオスナの相棒は、適材適所で代えが利かない役割を担う。