F1レッドブルからの退団を発表した〝天才マシンデザイナー〟エイドリアン・ニューウェイ最高技術責任者(65)の獲得に動いているフェラーリが、当初はその腹心であるピエール・ワシェ氏(49)を〝本命〟として狙っていたとの指摘が出ている。

 天才デザイナーのニューウェイ氏は、クリスチャン・ホーナー代表の性的スキャンダルを巡ってチームに内紛が起き、退団を決断。2025年の第1四半期に正式に退団することが発表された。

 さっそく争奪戦がぼっ発する中、いち早く動いたのが名門フェラーリ。フレデリック・バス―ル代表が英国にわたって電撃会談を行ったとの情報も現地メディアで取りざたされている。

 そうした中で、ドイツメディア「ワトソン」は、フェラーリの地元イタリア紙「ガゼッタデロスポルト」が、当初水面下で見せていた興味深い動きを報じた。

「フェラーリは、レッドブルからピエール・ワシェを引き抜きたいとも考えていたという。フランス人スタッフはテクニカルディレクターとして働いており、変化にも意欲的だったと言われている。しかし、彼の契約では早期の退団は認められていなかったようだ」と指摘した。

 フランス出身のワシェ氏はミシュランやBMWザウバーなどでキャリアを積み重ねた後、13年にレッドブル入り。技術部門の指揮を取るニューウェイ氏から高く評価され、18年からはテクニカルディレクターに抜てきされて右腕として活躍してきた。

 フェラーリは当初、王者レッドブルを実質的に支えるのはワシェ氏と判断して引き抜きを画策。しかしレッドブル側は、ワシェ氏だけはなんとしても残留させようと新たな契約を結び、契約期間内の退団も認めない厳しい条項まで付けて引き留めたというわけだ。

 その後、結果的にニューウェイ氏の動向に合わせて獲得に動くことになったようだが、フェラーリにとっては〝天才の後継者〟であるワシェ氏が本命だったのかもしれない。