「ギャンブル依存症」支え合いへ家族会 本県組織、8月発足めざす

 米大リーグ大谷翔平選手の元通訳、水原一平被告の違法賭博で関心を集めたギャンブル依存症。賭け事から抜け出せなくなり、日常生活に支障をきたすようになるなど大きな社会問題となっている。本県でも罹患(りかん)者は少なくない。本人だけでなく、つらい思いをする家族も支えようと、支援組織「NPO法人全国ギャンブル依存症家族の会山形」の設立に向けた準備が進められている。先進地の協力も得て、関係者は今年8月の発足を目指している。

 ギャンブル依存症はパチンコや競馬などにのめり込み、賭け事への衝動や欲求をコントロールできなくなる精神疾患だ。県精神保健福祉センターによると、ギャンブル依存症に関する県内で昨年度の相談件数は81件で、前年比22件増となっている。直近5年間では70~100件程度の件数で推移し、大半が家族からの問い合わせだ。

 懸念されるのは、罹患者の低年齢化。ギャンブル依存症問題を考える会(東京)によると、同会への相談は中高年は少なく、8割弱が20~30代。新型コロナウイルス禍の影響もあり、オンラインカジノなど、在宅でギャンブルに手を出しやすい環境となったことが要因とみられる。

 こうした状況で、本県での支援組織設立の中心となっているのは、庄内地域在住の会社員兼子せつさん(60)。兼子さん自身、息子が依存症になった経験者だ。昨年夏ごろから、新潟県の家族会に参加し、息子との接し方などを学んできた。

 自分も相談先がなく困った経験から、本県でも家族会をつくることを決めた。新潟県の家族会からサポートを受けながら準備を進めている。兼子さんは「(新潟の)家族会との関わりがなかったら、苦しみはもっと長く続いていた。県内の当事者と家族を支える場にしたい」と語っている。

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