テンミニッツTV|有識者による1話10分のオンライン講義
ログイン 会員登録 テンミニッツTVとは
社会人向け教養サービス 『テンミニッツTV』 が、巷の様々な豆知識や真実を無料でお届けしているコラムコーナーです。
DATE/ 2021.04.17

盗難に遭いやすい車種トップ5

 車の盗難件数は、2003年(平成15年)の6万4,223件をピークに減少しています。2019年(平成31年・令和元年)には7,143件とピーク時の11%弱程度。さらに2020年の自動車盗難件数は前年比27.1%減の5,210件とさらにおよそ2,000件程度減少しました。特に2020年での減少要因としては、監視の目が行き届く社会になった点、コロナ禍で在宅が増えたことによるリスクの減少と、海外から窃盗団が入国できなかった点などが考えられるようです。全体で減少傾向とはいえ、コロナ禍の影響が終わった後には、再びリスクが増大する可能性はあります。ここでは、自動車盗難の状況をもう少し詳しく見てみましょう。

盗難に遭いやすい車種トップはランドクルーザー

 盗難に遭いやすい車種を見てみましょう。以下、日本損害保険協会が公表している車種別トップ5です(2020年11月の調査)。左から車名、件数、構成比となっています。

1位 ランドクルーザー 25件 15.8%
2位 プリウス 22件 13.9%
同2位 レクサスLX 22件 13.9%
4位 レクサスLS 12件 7.6%
5位 クラウン 9件 5.7%

 1位はランドクルーザー。2020年2月の調査から2回連続です(前々回の調査では3位)。2位のプリウスは前々回の調査から3回連続で2位。3位と4位はレクサスですが、以降6位にもレクサスから2車種がランクインするなど、ワースト13車種のうちレクサスブランドが36.1%を占めています。全体の傾向としては、比較的海外で人気の車が中心のようです。

 一方、平均支払保険金は406.2万円と前回調査の401.4万円から増加しています。特に盗難車両が発見された場合の支払保険金が増加しているとのこと。これには、発見時に部品が抜き取られていて状態が良くないことや、より高額な車両が狙われていることが関係しているようです。

薄暗い時間帯、屋外駐車場に注意

 以下は同調査における車両本体の盗難発生時間帯の割合です。圧倒的に深夜から朝(22時から9時) が多いことがわかります。

日中(9時から17時) 12.7%
夜間(17時から22時) 10.8%
深夜から朝(22時から9時) 66.5%
不明 10.1%

 分析では、薄暗い時間帯、薄暗い場所で犯行が行われていることが多いと推察されています。また、同調査での盗難発生場所の割合でもっと多いのは「契約駐車場(屋外)」40.5%、次いで「自宅(屋外)」37.3%、3位は「自宅(屋内)」5.1%、4位は「通勤先駐車場」3.2%となっています。ちなみにここでの「自宅(屋内)」とは、「根がありかつ4方向が壁やシャッターで囲まれているもの」とのこと。

 ただし前回調査(2020年2月)の調査で最も多いのは「自宅(屋外)」で51.3%、次いで「契約駐車場(屋外)」22.8%の順です。資料でこの点への言及はありませんが、筆者の推測では在宅勤務が急増したことにより、在宅の可能性のある自宅からの盗むリスクを避けた結果でないでしょうか。ともあれ、盗難の多くは7割から8割が屋外駐車場で起きていることがわかります。

「貴重品を置かない」、「物理的ロックを使う」、「人目につきやすい駐車場に」

 車両盗難の手法は、一般的には大きく4つの手法があるようです。一つは窓ガラスやキーシリンダーを破壊したり、窓の隙間から針金でドアを解錠したりする直接的な侵入。二つ目はイモビカッターを使用した手口。キーと車載コンピュータのIDを合致させてエンジンをかけるものがイモビライザーですが、この情報をイモビカッターでリセットするという手法です。三つ目はリレーアタック。新型車に多く採用されているスマートキーの電波を増幅させて解錠するもので、窃盗団が利用します。四つ目はコードグラバーを使用した手口。これはスマートキーではなく、車本体から発する電波を利用して解錠する最新の手法です。コードグラバーとはスマートキーのIDを複製してスペアキーの代わりに使うものですが、これを盗難に悪用するそうです。

 対策としては、「貴重品を車に置かない」、「タイヤロック・ハンドルロックなどの物理的ロックを使う」、「人目につきやすい駐車場にする・防犯カメラを設置する」の3つがまず考えられる方法です。また万が一盗難にあったときには、速やかに警察に届けることになりますが、このとき車の登録番号など車検証の情報が必要です。いざという時に備えて、車検証はあらかじめコピーしておくか、スマートフォンで撮影しておきましょう。

<参考サイト>
コロナ禍のステイホームが影響!? 2020年の自動車盗難は27%減! それでも愛車を守るにはどうする?|ベストカーWeb
https://bestcarweb.jp/feature/column/251902
自動車盗難等の発生状況について(PDF)|警視庁 生活安全課 平成30年6月
https://www.npa.go.jp/safetylife/seianki56/30_jidousya.pdf
2回連続でランドクルーザーが車名別盗難ワースト1│一般社団法人日本損害保険協会
https://www.sonpo.or.jp/news/release/2020/2103_03.html
~最後までコラムを読んでくれた方へ~
物知りもいいけど知的な教養人も“あり”だと思います。
明日すぐには使えないかもしれないけど、10年後も役に立つ“大人の教養”を 5,100本以上。 『テンミニッツTV』 で人気の教養講義をご紹介します。
1

歴史における「運」とは?ソクラテスの「運」から考える

歴史における「運」とは?ソクラテスの「運」から考える

運と歴史~人は運で決まるか(1)ソクラテスが見舞われた「運」

歴史における「運」とはどういうものだろうか。例えば、富裕と貧困という問題について、「運」で決まるのか、あるいは「運」とは異なる努力、教養、道徳などの要素で決まるのかという点でも、思想家たちの考え方は分かれる。第1...
収録日:2024/03/06
追加日:2024/04/18
山内昌之
東京大学名誉教授
2

多神教の日本と民主主義…議論の強化と予備選挙の導入を

多神教の日本と民主主義…議論の強化と予備選挙の導入を

民主主義の本質(4)日本の民主主義をいかに強化するか

民主主義の発展において、キリスト教のような一神教的な宗教の営みがその礎にあった。では、そうした宗教的背景をもたない日本で、民主主義を育てるにはどうしたらいいのか。人数が多ければ正しいというのは「ポピュリズム」の...
収録日:2024/02/05
追加日:2024/04/16
橋爪大三郎
社会学者
3

急成長するインドネシアとトルコ、その理由と歴史的背景

急成長するインドネシアとトルコ、その理由と歴史的背景

グローバル・サウスは世界をどう変えるか(3)インドネシアの成長とトルコの外交力

グローバル・サウスの中でも高度経済成長を遂げているのがインドネシアだ。長期のスカルノ時代とスハルト時代を経てその後に民主化が進んだ、東南アジアで最大のイスラム教国である。また、トルコは多国間に接する地理的特性と...
収録日:2024/02/14
追加日:2024/04/17
島田晴雄
慶應義塾大学名誉教授
4

ロシアによるウクライナ侵略で国際政治はどう変わったのか

ロシアによるウクライナ侵略で国際政治はどう変わったのか

ウクライナ侵略で一変した国際政治(1)歴史的経緯とNATOの存在

ロシアによるウクライナ侵略によって、国際政治は一変したといわれる。だが、具体的には何がどう変化したのか。この問題について大事なのは、両国のみならずヨーロッパとロシア、さらにアメリカも含めた各国の関係、その歴史的...
収録日:2022/05/10
追加日:2022/05/27
小原雅博
東京大学名誉教授
5

なぜ今「心理的安全性」なのか、注目を集める背景に迫る

なぜ今「心理的安全性」なのか、注目を集める背景に迫る

チームパフォーマンスを高める心理的安全性(1)心理的安全性が注目される理由

「心理的安全性」は近年もっとも注目されるビジネスバズワードの一つともいわれている。その背景には、コロナ禍におけるリモートワークの増大、社会全体が未来予測の難しい「VUCAの時代」に入ったことがある。職場環境が多様に...
収録日:2022/04/26
追加日:2022/07/23
青島未佳
一般社団法人チーム力開発研究所 理事