中国版Bumble?現代女性の心に寄り添う仮想恋人アプリ「甜味陪伴」

36Kr Japan | 最大級の中国テック・スタートアップ専門メディア

日本最大級の中国テック・スタートアップ専門メディア。日本経済新聞社とパートナーシップ提携。デジタル化で先行する中国の「今」から日本の未来を読み取ろう。

スタートアップ注目記事

中国版Bumble?現代女性の心に寄り添う仮想恋人アプリ「甜味陪伴」

7月1日より、これまで36Kr Japanのメディアで提供していた記事のうち、一部スタートアップ企業に関するニュースについては、有料コンテンツサービス「CONNECTO(コネクト)」の会員限定で提供します(初期段階では無料会員も対象とします)。まだ登録されていない方は、ぜひそちらをご利用ください。

原文はこちら

セミナー情報や最新業界レポートを無料でお届け

メールマガジンに登録

続きを読む

女性向けオンラインコミュニケーションアプリ「甜味陪伴(Tianwei peiban)」がプレシリーズAで1000万元(約1億6000万円)以上の資金を調達した。投資機関は「簡鳴資本(JM.Capital)」など。同社はこれまでにも複数の投資機関から戦略投資を受けている。

同社創業者兼CEOの楊翼菡氏は、今回の調達資金は主に同社の組織拡充、製品体系の継続的な更新に充てるとしており、良好な口コミとより綿密な運営でユーザー増を牽引するとともに、市場PRの面でさらに尽力し、女性ユーザーに対してより安全で快適なオンラインコミュニケーション空間を提供していくと述べている。

甜味陪伴は若い女性ユーザーを対象としており、バーチャルな恋人、話し相手、心理的な寄り添い役といったメンタルサポートサービスを提供している。

3月下旬にはApp Storeにて「微信(WeChat)」に続きソーシャルアプリランキング第2位を獲得し、QQ、小紅書(Red)などを抜いた。リリースからわずか半年で100万人のユーザー獲得を果たし、継続利用率は約55%、課金ユーザーの1日平均利用時間は1.5時間と目覚ましい成果を獲得している。

甜味陪伴のトップページ

女性による精神関連の消費の台頭に伴い、資本市場およびIT企業業界も女性の旺盛なコミュニケーションニーズと力強いマネタイズ能力に注目し始めている。特筆すべきは、女性向けコミュニケーションサービスを主力とする米国マッチングアプリ「Bumble」はわずか1カ月前に米国ナスダックに上場しており、時価総額は70億ドル(約7600億円)を超えている。ユーザーおよび売上高の増加速度はTinderを超えるほどであり、こうした数字は女性向け社交サービスの将来性にさらなる希望を与えている。

一方、中国国内の有料コミュニケーションアプリ市場に登場した「比心(Bixin)」「伊対(Yidui)」「陌声(Mosheng)」といったプラットフォームの月間売上高は10億元(約160億円)を超えており、同分野のポテンシャルを物語っている。だがこうした既存プラットフォームの多くは男性のコミュニケーションニーズを主なターゲットとしており、女性ユーザーを対象としたサービスを明確に掲げたのは甜味陪伴が恐らく中国初だ。

業界に目を向けると、既存のマッチングアプリは男性ニーズに立脚したものであり、この本質が女性に不利益をもたらしている。多くの女性が迷惑行為を受けた結果、女性ユーザーはコミュニケーションアプリに対して良いイメージを抱いておらず、このためユーザーの男女比率が大幅に偏るアプリも多い。

このほか、短編動画やゲームなどの娯楽アプリに比べ、マッチングアプリの不確定性はより高いため、ユーザーは嫌気がさし始めている。さらにこうしたアプリをめぐる浅はかな人間関係や無意味で味気ない大量のやり取りも、ソーシャルなつながりに対する人々の前向きな期待を徐々に打ち消す要因となっている。

こうした業界の弱点や女性ニーズに注目した甜味陪伴は、一対一のコミュニケーションサービスを提供している。アプリの中の「小天使」と呼ばれるパートナー(コミュニケーションサービス提供者)は実名認証、資料審査、心理学の基礎的なヒアリング研修および試験などの各段階を経ており、これがアプリのクオリティ、サービススタンスおよびレベルを担保している。アプリが実施した調査の結果、パートナーの身分は学生、IT業界関係者、医師、カウンセラーなど多岐にわたるが、その8割以上が他者の心理的サポートを行い、達成感を得ることを主な目的としてパートナー役を務めており、金銭的な見返りを得るという目的の比重は小さいことが明らかとなっている。

この点は、交流の場の設置とサポートによりユーザー同士の深い交流を促し、有意義で健全なソーシャルエコシステムを構築するという甜味陪伴の初志とも合致している。

このほか、プラットフォームには一対複数名による音声チャット機能があり、女性ユーザーは各種テーマに沿ったリアルタイムでのインタラクションを通じ、お互いの共感や悩みの解消ができる。加えてUGCコンテンツもさまざまな話題を介した低コストのインタラクティブツールとなっている。

ビジネスモデルとしては、現時点では主に仮想通貨の一部が主な売上となっており、ユーザーは各種のコミュニケーション項目を選択し、「テキスト+音声メッセージ」または「リアルタイム音声通話」形式を選び、利用時間をもとに費用が計算される。さらにバーチャルプレゼントをパートナーに贈ることもできるが、プラットフォームがそこから一定の収益を得る仕組みとなっている。

甜味陪伴は「北京熵減科技有限公司」により開発され、同社は現在25人ほどの従業員を抱える。その中心メンバーの多くはバイトダンス(字節跳動)、テンセント、新浪(Sina)、美団(Meituan)、「探探(Tantan)」、「映客(inke)」など一流IT企業やサービスの元関係者で、インターネットを通じたソーシャルコミュニケーションに通じ、豊富なプロジェクト経験を積んでいる。
(翻訳・神部明果)

7月1日より、これまで36Kr Japanのメディアで提供していた記事のうち、一部スタートアップ企業に関するニュースについては、有料コンテンツサービス「CONNECTO(コネクト)」の会員限定で提供します(初期段階では無料会員も対象とします)。まだ登録されていない方は、ぜひそちらをご利用ください。

原文はこちら

セミナー情報や最新業界レポートを無料でお届け

メールマガジンに登録

関連記事はこちら

関連キーワード

セミナー情報や最新業界レポートを無料でお届け

メールマガジンに登録